幼児が遊びながら学ぶ性教育絵本

 まずは、今まで見過ごされてきた幼児期の性教育に着目した。子どもが周りの大人たちと性について話し、一緒に遊びながら学べるツールとして、対象年齢を2歳から6歳と想定した絵本『YOUR NORMAL きみを かんがえる ほん』のプロトタイプを製作。

 洋服や髪型をマグネットで付けられるページでは、着せ替えるたびに「似合うね!」といった歓声が電子音で上がり、「男の子が髪を伸ばしても、女の子がブルーの服を着てもいい」という自由な価値観を体感できる。一方、男女の身体の部位の名称を学ぶページでは、ブラックライトを当てると答えが浮かび上がり、他人に触れさせない方がいい「プライベートゾーン」には、シールの下着を貼ったり剥がしたりできるなど、「性差」について学べる。こうした遊びを通じて保護者と対話し、身体について学ぶことで、幼児期から性についての理解を自然に身につけられることをコンセプトにした。

『YOUR NORMAL きみを かんがえる ほん』のプロトタイプ
『YOUR NORMAL きみを かんがえる ほん』のプロトタイプ
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 「この本を使ってワークショップを実施したところ、子どもたちは私たちが思いつかないようなコーディネートをたくさん考え出してくれました。“男の子はスカートやピンクの靴を履かない”といったジェンダーバイアスがかかる前に、自分はそもそも何が好きなのかを考えて形にし、それを素敵だと評価してもらえる経験をしてもらえればと思います」(東江氏)

様々な「普通」を見せるショートムービー

 また、このプロジェクトの一環として制作し、現在、FUTURE LIFE FACTORY のホームページやYouTubeで公開しているショートムービーでは、同性のカップルやメイクにいそしむ男性、男性的な趣味を楽しむ女性など、5組の出演者が登場している。彼らは役者ではなく、動画は実際の日常を切り取ったものだという。

「YOUR NORMAL」で制作したコンセプトムービーはホームページとYouTubeで公開(画像提供:パナソニック)
「YOUR NORMAL」で制作したコンセプトムービーはホームページとYouTubeで公開(画像提供:パナソニック)
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 「このフィルムを見た人の反応はさまざまです。微笑ましいムービーとして受け止める人がいる一方で、ギョッとする人もいる。でも、皆が自分らしく、楽しく毎日を過ごしているという現実を伝えたかった。思春期には、学校などの狭いコミュニティの中“自分は普通でない”と感じると深く悩んでしまいがちですが、一歩外に出れば、世の中には色々な“普通”が存在します。“普通”のかたちはさまざまだということをテーマにしました」(白鳥氏)