スタートアップ企業などの資金調達方法として、自社の株式を使って個人から事業資金を募る「株式投資型クラウドファンディング」を活用する企業が増えている。日本証券業協会によると2021年に同手法によって資金調達した件数は118件で、調達資金額は約37億円(新株予約権含む)に上る。それぞれ、前年に比べ約1.7倍になった計算だ。株式投資型クラウドファンディングの仕組みと活用のポイントについて、日本証券業協会に聞いた。

年1億円未満の資金調達が可能

スタートアップ企業などの間で、「株式投資型クラウドファンディング」に対する関心が高まっています。そもそも、どんな仕組みになっているのか、教えてください。

 クラウドファンディングとは文字通り、ネットを通して不特定多数の人(Crowd)から資金調達する(Funding)ことを意味します。クラウドファンディングは大きく(1)寄付型、(2)購入型、(3)貸付型、(4)投資型に分類され、(4)の中に「株式投資型」があります。株式投資型クラウドファンディングを活用することにより、スタートアップや創業年数の浅いベンチャー企業は、株式を発行し、インターネットを介して多数の人から資金を集めることができます。

図1●株式投資型クラウドファンディングの仕組み
図1●株式投資型クラウドファンディングの仕組み
株式投資型クラウドファンディングは、資金を必要とするベンチャー企業などが株式を発行、取扱業者によって運営されているウェブサイトに企業概要や目標募集額などを公開し、広く投資家の出資を募る仕組みだ(各種資料を基にBeyond Health作成)
[画像のクリックで別ページへ]

 取引所に上場していない株式は、上場株式とは異なり、通常は柔軟な売買を行うことはできません。しかし、この仕組みを使うことで、スタートアップ企業やベンチャー企業も、自社に興味を持つ個人投資家にリーチすることが可能になります。米国などでは未上場企業に投資する「エンジェル投資家」が活躍しており、日本でもリスクマネーの円滑な供給を目指し、2015年に金融商品取引法を改正して株式投資型クラウドファンディングによる資金調達ができるようになりました。

利用する企業側が知っておきたい株式投資型クラウドファンディングの特徴について教えてください。

 株式投資型クラウドファンディングの特徴は、1企業につき年間調達総額が「1億円未満」、投資家1人当たりの年間投資額が「50万円以下」と限定されていることです(金融商品取引法で定める「特定投資家」を除く)。投資家側は、投資先の企業についての説明やクラウドファンディングに関する問い合わせ、申し込みなどを全て取扱業者のウェブサイトまたは電子メールを通して行う必要があります。

 投資家には、企業が成長して上場した際にはキャピタルゲイン(値上がり益)が得られるというメリットがあります。しかし現状、株式投資型クラウドファンディングを利用する企業の大半はシードステージ(起業前)かアーリーステージ(起業直後)ですから、実績という面ではこれからです。そもそも株式投資型クラウドファンディングで取得する株式自体が流通取引を前提としたものではなく、企業やその事業に対する共感や応援したいという気持ちで購入する投資家が大半です。企業によっては、投資してくれた投資家に対して、株主優待のような独自のサービスを行っているところもあります。