目標はユーザーが設定できるが期間はアプリから提案

 今回のアプリは基本的に中高生アスリート本人と食事を作る保護者が連携して利用することを想定している。利用する際の大まかな流れは以下のようになる。

(1)年齢や身長、体組成(体重・体脂肪率)、種目や体重に関する目標(現状維持、減量、増量)から、その人に必要な栄養素が計算される

(2)アプリから栄養素の条件を満たす1日分の献立が提案され、保護者が採用する献立を登録する

(3)中高生アスリートが実際に食べた献立について味を5段階、量を5段階(完食、少し残した、半分残した、1.5倍食べた、2倍食べた)で評価する

「勝ち飯AI」ではユーザーの中高生アスリート本人の状態に合わせて、必要な栄養素を算出する。実際に食べた食事内容を記入すると、必要な栄養素に対してどの程度摂取できたのかを確認できる
「勝ち飯AI」ではユーザーの中高生アスリート本人の状態に合わせて、必要な栄養素を算出する。実際に食べた食事内容を記入すると、必要な栄養素に対してどの程度摂取できたのかを確認できる
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 (1)で選ぶ種目については具体的なスポーツ種目ではなく、エネルギー消費の状況や特に必要とされる筋肉から4系統を用意した。バレーボールやバスケットボール、サッカー、投てきなどを想定した「球技」、水泳、陸上中長距離などを想定した「持久」、陸上短距離、レスリングなどの格闘技、ボルダリングなどを想定した「瞬発」、そしてダンスなどを想定した「そのほか」の4つだ。必ずしも想定に従う必要はなく、より伸ばしたい点を重視して自分で選んでもよい。

 各ユーザーに向けた栄養素の必要量は、ビクトリープロジェクトと同様の計算式に基づき算出されている。基本的には脂肪・炭水化物に対してタンパク質が多めの“アスリート仕様”だ。体組成は毎日記入するようになっており、それと同時に5つの対策(貧血、風邪、ケガ、整腸、疲労)を選択できる。選んだ対策によって鉄やカルシウム、ビタミンといった微量栄養素や食物繊維などの量が調整される。

体調などに合わせて微量栄養素なども考慮するなど、細やかに対応する
体調などに合わせて微量栄養素なども考慮するなど、細やかに対応する
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 (2)で提案される献立は、レシピサイト「AJINOMOTO PARK」に登録されている約1万2000品目のデータベースのうち、おせち料理や郷土料理などの特殊なメニューを除いた約3700品目から日常的な献立を提案する。基本は主食、主菜、副菜、汁物により3~4品目で構成しており、論理上は約23億通りの献立が存在することになる。ビクトリープロジェクトの知見から、「ガリバタチキン」や「麻婆豆腐」、「豚キムチ」といった味付けが濃いめの肉料理など、アスリートに人気の150~200品目を特に高頻度で提案しているという。また、個々の状況に合わせて、避けたい食材を指定したり、朝食のパターンを指定することもできる。間食など献立にない食事を記録すれば、その分を考慮した内容に献立を再考するアラートを出すといった機能も盛り込んだ。

 (3)の評価も特徴の一つだ。結果は摂取した栄養素の算出に利用するほか、食事の好みに関する最適化にも利用している。評価を学習し、ユーザーに合わせた味付けや量を提案するようになる。

食べた献立について、味(好み)や食べた量を5段階で評価する仕組みを採用している
食べた献立について、味(好み)や食べた量を5段階で評価する仕組みを採用している
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 ビクトリープロジェクトでの知見も活用している。例えば、「三食+補食で必要なエネルギーを取る」といった考え方を実践する。補食は三食の間にエネルギー補給として食べるもので、ゼリーやジュース、カステラ、肉まんなどを提案する。補食は、運動後に補給して筋肉の再生に役立てたり、運動前に補給して筋肉の分解を防いだりする役割を持つ。特に親世代が子供だった頃は「練習中は水も飲まない」「必要なエネルギーは三食で食べた方がいい」といった考え方が一般的だったことから補食の必要性を認識していない場合が多く、積極的に情報を提供しているという。

 また、目標として設定できるのは「体重」の増減のみで体脂肪は指定できないようにしている。これはビクトリープロジェクトでの経験から、「体脂肪を下げて体重は維持」を直接実現するのは難しく、実際には体脂肪を減らすと筋肉も同時に減ってしまい、結果的に減量時にパフォーマンスが下がってしまう場合が多いと分かっているためだ。「まず筋肉量を増やして(体重を増やして)体脂肪率を下げ、それから減量する方法を勧めている」(勝美氏)。また、無理な減量・増量にならないよう、目標はユーザーが設定できるが期間はアプリから提案する形とした。