新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、妊婦にも大きな不安を与えている。日本産科婦人科学会と日本産婦人科感染症学会は、「妊娠中の皆さまへ」と題した文書をホームページ上に掲載。妊娠中に新型コロナウイルス感染症にかかる確率は一般の人と同じで、現在までのところ妊娠中の重症化率は高くなく、むしろ低い値が報告されているとしている。

 しかし、妊娠中は定期的な健診が欠かせず、通院で外出せざるを得ない。それが妊婦の不安の大きな要因になっている。こうした不安を解消すべく、妊婦を支援するための取り組みがあちらこちらで始まっている。

胎児の健康状態を遠隔モニタリング

 その一つが、北海道大学病院を舞台に行われている「オンライン妊婦健診・診療」である。北海道では、都道府県別の感染者数が一時全国最多となり、2020年2月末にいち早く緊急事態宣言を出した。そこで緊急対策として始まった取り組みだ。

 北大病院のホームページによると、オンライン妊婦健診の対象となるのは、(1)新型コロナウイルス感染症状のある妊婦、(2)免疫抑制剤やステロイドを使用している妊婦、(3)感染に弱い基礎疾患を持つ妊婦、(4)自宅での健診を希望する妊婦、である。

分娩監視装置「iCTG」(提供:メロディ・インターナショナル、以下同)

 オンライン妊婦健診では、メロディ・インターナショナル(香川県高松市)が手掛ける分娩監視装置「iCTG」を活用する。妊娠25週以降の妊婦健診で胎児の健康状態を確認するために行う「NST(ノンストレステスト)」を在宅で行うことができる装置だ。

 iCTGは、外測陣痛計「TOCO」と心拍計「FHR」の2つの装置をベルトで腹部に装着することで、胎児の心拍数と胎動、子宮の収縮具合を測定できる。Bluetooth接続で、スマートフォンやタブレット端末のアプリに結果を表示し、医師が診断に活用できる。2018年5月にクラスⅡの医療機器として承認された。

iCTGを腹部に装着している様子

 このiCTGを対象となる妊婦に郵送し、指定された日時に医師と妊婦がテレビ電話をつないで問診やNSTを実施する。診察が終わり次第、iCTGは病院に郵送で返却してもらい、病院で水洗いやアルコール消毒をした後、次の妊婦に発送する。

iCTGで測定したデータのイメージ

 薬が処方された場合は、診察終了後に病院から郵送される。NST実施の主な対象となる妊娠25週以降の妊婦だけでなく、胎児発育不全が確認された場合や切迫早産の場合にも、医師の判断によってはiCTGが使用されているようだ。