入居しただけではイノベーションは生まれない

研究/オフィス設備が完備された実験エリアには各種の共有実験機器が設備され、入居してすぐに研究をスタートできるという
研究/オフィス設備が完備された実験エリアには各種の共有実験機器が設備され、入居してすぐに研究をスタートできるという
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 湘南アイパークには、研究/オフィス設備が完備された実験室に、遠心機やリアルタイムPCR、フローサイトメーターなどが共有実験機器として備わっている。入居企業は自ら実験設備に投資する必要なく、入居した日から研究を始められる環境を有していることが大きな特徴という。「研究施設への初期投資が不要なことは、バイオベンチャーにとって魅力的」(藤本氏)と自負する。

 ただし、「入居しただけではイノベーションは生まれない。各自のオフィスを出て、研究者同士が交流できる環境や仕掛けが必要だ」と藤本氏は指摘する。そこで、交流を促進するためのアメニティーを充実させた。施設内の各所には大小さまざまなカンファレンスルームや講堂などの共有施設がある他、「ノマド」「ビーチ」「キャンプ」「和」などと名付けられたコミュニケーションスペースがあちこちに設けられている。

 こうしたスペースを利用したイベントも毎週のように開催している。あるテーマに沿ったレクチャー、その後の懇親会、あるいはアルコールを飲みながらのピッチイベントなどだ。革新的な技術やビジネスを創造するには、まずは組織を超えて人の交流が生まれることが大切だという考えからだ。

施設内のあちこちに設けられたコミュニケーションスペースでは、ピッチが開催されたり、会社を超えて研究者同士が交流したりする場として活用されている
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施設内のあちこちに設けられたコミュニケーションスペースでは、ピッチが開催されたり、会社を超えて研究者同士が交流したりする場として活用されている
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 藤本氏は、世界的に成功しているエコシステムは、会社の結び付きにとどまらず、会社を超えてタレントが流動していると指摘する。「製薬企業出身者がバイオベンチャーを起業したり、あるいは研究者がベンチャーキャピタルの中に入って技術の目利きをしたりするといったタレントの異動が必要だと思っている。入居企業の人材の交流が起きてくると協業の垣根も低くなる。そうした環境が生まれれば成功と言えるだろう」(同氏)。