次世代の移動サービスとして話題が集まっているMaaS(Mobility as a Service)。このほどフィリップス・ジャパンが、同分野に参入することを発表した。ヘルスケア領域におけるMasSに取り組もうというわけだ。同社が目指す、ヘルスケアとモビリティの融合とはどのような姿なのか。

ヘルスケアモビリティのイメージ(出所:フィリップス・ジャパン)

ソフトバンクとトヨタの共同出資会社と連携

「MONETサミット」には、トヨタ自動車 代表取締役社長の豊田章男氏(右)もサプライズで登場した。左は、MONET Technologies社長 兼 CEOの宮川潤一氏(写真:加藤 康、以下同)

 2019年3月末に都内で開催された「MONETサミット」。ソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資によって設立された、MaaSを手掛けるMONET Technologiesによるイベントだ。

 このイベントの後半、フィリップス・ジャパン 代表取締役社長の堤浩幸氏がゲストとして登壇。「ヘルスケアモビリティをMONETと共に実現していく」と宣言した。

 実はフィリップスは、MONET Technologiesが設立した「MONETコンソーシアム」に参画。MONETのプラットフォーム、すなわちモビリティ分野における専門性や、車両データ、走行データ、車両・配車API、サービスAPIなど活用し、連携を図ることで新たなヘルスケアサービスを創出していこうというわけだ。

「MONETサミット」に登壇したフィリップスの堤氏


口腔・睡眠・栄養ケアから介護サービスまで

 フィリップスがモビリティとの連携で目指す新たなヘルスケアサービスとは、「動的・最適配置」のサービス。これまで「画一化・固定化」されていた姿からの脱皮である。

 具体的には、「サービスの移動」と「人の移動」の両面から、動的・最適配置の実現をもくろむ(図)。「これまで単独で存在していたもの同士がつながる。モビリティの活用によって、単にデジタルやバーチャルのつながりだけではなく、アナログのFace to Faceのつながりを付加することができる」。堤氏はこう強調する。

図●フィリップスが目指す「ヘルスケアモビリティ」構想
(図:同社のプレゼン資料を基にBeyond Healthが作成)

 こうしたサービスのニーズは、自治体にあるとフィリップスは見る。「多くの自治体は、人口の減少・分散化に伴い、市民の健康的な生活を確保し福祉を推進するための『外出の足となる公共交通』や『ヘルスケアサービスを提供する施設』といった固定化されたインフラを構築・提供することが難しくなっている」(同社)。

 そこで、主に自治体との連携を図りながら、用途の具体化やモデル実証を進めていく考え。既に複数の自治体との協議を始めているようだ。加えて、多様な企業との連携も図ることで、小売り、物流、食などの様々な分野と組み合わせたサービスにしていく意向である。

コンセプトモックアップを披露

 MONETサミットでは、MONETとフィリップスが共同で考案した、ヘルスケアモビリティのコンセプトモックアップを披露した。例えば、車両をクリニック化したり、薬剤師を配置したり、あるいはAEDを設置したりして、オンデマンドで必要な場所にサービスを届けようというコンセプトを具体化したものである。

披露したコンセプトモックアップ。MONETとフィリップスの連携であることを明示していた

 このコンセプトモックアップは、2019年5月下旬に仙台に開設する「Philips Co-Creation Center」に常設する予定。そこで、さまざまな意見を取り入れながらブラッシュアップを図っていく考えだ。

 今後の展開としてフィリップスは、2019年度にヘルスケア領域における具体的なモビリティサービスの開始、2020年以降はモビリティサービスを横展開し、サービスラインナップを拡大していくとしている。さらに、こうした新たなサービスの企画・開発と並行して、サービスを実装・普及させるための法整備に向けた取り組みも加速していきたいとしている。

(タイトル部のImage:加藤 康)