AIなど複数の技術を融合したソリューションが目白押し

 RxALLのソリューションは、医薬品のほか、AI、分子センサーの知見を融合したものであり、異なる領域のノウハウを結合し、短期間で製品に仕上げることが得意なスタートアップ企業ならではと言えるもの。Hello Tomorrow Global Challengeの登壇者を見ると、RxALLが勝ち上がったデジタルヘルス部門を中心に、複数の技術を融合したソリューションが目白押しだ。特に多いのが、深層学習を含むAI技術である。

 例えば、スペインのMedicsenは、糖尿病患者向けの低侵襲性人工膵臓(自動インスリン注入システム)を発表した。AI予測と無針型の自動薬剤供給装置(パッチ)を活用することで実現する。人工膵臓は、2016年に米国のFDA(食品医薬品局)が初めて携帯型装置に認可を与えたことで、その後の開発と臨床試験に注目が集まっている領域である。同社は、スマートフォン向けアプリによるチャットボット(AIを利用した自動応答システム)や食事などの健康アドバイスサービスなどの提供を通じて、糖尿病患者を支援している。今回の発表は、その延長にある活動である。

 メンタルヘルスにおいて、AIの一手法である深層学習を応用しているのがドイツのMindpax。ユーザーが装着したリストバンドを通じてユーザーの活動量と睡眠を測定、スマートフォン経由でクラウドに送信する。クラウド側では深層学習アルゴリズムを利用することにより、双極性障害や統合失調症などのメンタルヘルス疾患を管理する仕組みである。

 米国のSteth IOは、スマートフォンに装着する聴診器機能を持ったカバーを開発している。このカバーを装着したスマートフォンを患者の胸に当て、内臓などの音を取得する。同社は、この取得した音の分析にAIを応用している。

 AI以外では、最近話題を集める量子計算を用いた取り組みもある。カナダのProteinQureは、量子計算と分子動力学シミュレーション、機械学習を組み合わせることで、創薬に生かすという。同社は、富士通と共同で中分子創薬に取り組んでいる。

ProteinQure は、IBMや富士通などと量子計算で協業し、中分子創薬に取り組む

 デジタルヘルス以外の健康医療領域で、最終選考に勝ち残ったのは以下の企業である。

・グローバルヘルス
X-Therma(米国):再生医療分野において、細胞・組織・臓器の冷蔵・輸送を実現するための科学技術を開発
・ウェルビーイング
Ilya Pharma(スウェーデン):皮膚や粘膜の傷を治療するための生物製剤を開発
・産業バイオテク
Dust BioSolutions(ドイツ):バクテリアの働きによって、粉塵を固化する生物学的結合剤を作成。最初の製品は鉱業における粉塵を固化するもので、ほかには農業などへの応用を図っている