導入病院に聞く、そのメリット

 このCOVID-19トリアージ支援システムを2020年5月8日から利用しているのが、岐阜県羽島郡にある松波総合病院と、まつなみ健康増進クリニックだ。ベースとなるAI問診Ubie自体は2020年1月から導入していた。

松波総合病院のNORTH WING(北館) (出所:松波総合病院のホームページより引用)
松波総合病院のNORTH WING(北館) (出所:松波総合病院のホームページより引用)
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 松波総合病院では、発熱や呼吸器症状を訴える患者に対して、診療科ごとの受付窓口でAI問診Ubie用のタブレット端末を渡して事前問診を行っていた。しかし、このタブレット端末は院内のWi-Fiを使うため、病院の建物内で事前問診をしてもらう必要があった。

 まつなみ健康増進クリニックでは、同年3月末から入り口にサーモグラフィーを設置し、37℃以上の発熱の可能性がある人や呼吸器症状のある人には、発熱患者用の問診票を書いてもらうという対策をとっていた。患者のほとんどが自動車で来院するため、問診票の内容を医療スタッフが確認するまでは車内で待機してもらい、COVID-19感染疑いのある場合は通常とは違う入り口や診察室を案内していた。

 ただし、この方法では、問診票を受け取るために一度クリニックに入ってもらう必要があった。クリニックのホームページで問診票をダウンロードできるようにもしていたが、患者に印刷してもらう手間がかかった。

 そこで、来院前に自宅や車内でスマートフォンを使って事前問診ができないかと考え、AI問診Ubieのトリアージ機能を活用し始めた。ホームページ上に来院前AI問診が受けられるURLやQRコードを記載している。

 これによって、「紙を印刷しなくても家で事前問診ができるようになり、事前の問い合わせなく来院した患者には車内での事前問診が可能になった」と蘇西厚生会 松波総合病院 副院長(内科) 兼 FMDセンター長 PFM副センター長 イノベーション推進本部長 診療支援部 部長の草深裕光氏は話す。

 現在、医療スタッフは、感染症対策のために、ドアノブなど多くの人が触る場所の頻回な消毒や、感染疑いのある患者を診察する際のPPE(個人防護具)装着などを行っている。通常よりも業務が増えている状態において、「業務の効率化を図ることや、院内感染を防ぐために患者との接触時間を減らすことが最も重要」と草深氏は強調する。同氏が重視する双方の点において、AI問診Ubieが寄与しているという。