ANA(全日空)グループのANAエアポートサービスが、メンタルヘルスに力点を置いた職場改革を進めている。主軸となる取り組みの1つが、社員向けの相談ルームである「サポートルームNANALA(ナナラ)」。主に空港での接客に従事するグランドスタッフに向け、メンタルヘルス面でのサポート策を打っている。

 ANAエアポートサービスはANAホールディングスの子会社で、羽田空港における空港サービス全般を手掛けている。同社が取り組むNANALAの主な対象者は、空港での接客サービスを担う約2300人のグランドスタッフ。ANAエアポートサービスの社員として常駐する公認心理師が、臨床心理学の知見を用いて、社員からの気軽な相談、職場における働き方のアドバイス、1対1の心理カウンセリングなどを提供している。

 同社はかねて、職場づくりのための活動を続けてきた。例えば、現場リーダーの人数を増やして社員をケアしやすくする、社員同士の交流を促すレクリエーションを企画する、職場改善の取り組みやスキルの高い社員を表彰する、といったものだ。

 さらなる打ち手として繰り出したのが、2019年度から開始したプロジェクト、「働き方イノベーション」である。東京大学大学院下山研究室(教育学研究科臨床心理学コース・下山晴彦主任教授)との共同研究を機に立ち上げた。

 最大の特徴は、臨床心理学とメンタルヘルスの知見を適用すること。学術的な観点と現場の視点をブレンドさせることで、心身の健康度の向上や働きやすい職場の整備、社内の活性化を同時に狙っている。NANALAはこのプロジェクトの核となる取り組みである。

 ANAエアポートサービスは一連の取り組みを通じて、従業員満足度の向上、ひいては顧客に提供するサービス品質の向上を目指す。中長期的には、メンタル不調を主たる要因とした休職・退職者の低減といった数値への反映も見込む。