ソーシャルでゲームから脱皮

 オンライン化が進むゲーム業界でもフィットネス分野が盛り上がりを見せる。任天堂の家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」では、記録的大ヒットを飛ばす「あつまれ どうぶつの森」の陰で、「リングフィット アドベンチャー」がフィットネスゲームとして健闘を見せている。ゲーム機のコントローラを付属の「リングコン」と「レッグバンド」にセットし、エクササイズの動きによりゲームを進めていく。ゲームのストーリー性により運動を続けやすくしている。

 加えて、同タイトルは有償のオンラインサービス「Nintendo Switch Online」に対応している。自分のベストスコアを世界のプレーヤーと比べることができたり、エクササイズで得られたポイントを知人にプレゼントできたりするなど、ソーシャルゲーム的な仕組みによって継続的な利用を促している。

 リングフィット アドベンチャーは外出自粛となった地域などで注目が集まっていたと思われるが、そこに生産地である中国が新型コロナ感染症の影響を受けて生産・出荷遅延が生じ、品薄となったとして2020年2月6日には任天堂はお詫びを発表した。2019年10月18日に発売された年末商戦向け製品で出荷遅延などの影響も受けたにもかかわらず、年明け後も販売数を伸ばし2020年5月7日時点で全世界での実売数が273万本に達したという。

 新型コロナ感染症の流行を機に“ゲーム”から“フィットネス”や“スポーツ”へと脱皮しているのが、米Zwiftの自転車などに向けたオンライントレーニングプラットフォーム「Zwift」だ。2008年北京五輪の男子トライアスロン金メダリスト、ヤン・フロデノ氏は、医療機関向けなどの寄付を募るため、自宅でスイム(水泳)3.8km、バイク(自転車)180km、ラン(長距離走)42kmを走破するアイアンマン・ディスタンスに挑戦する様子をライブ配信しながら8時間33分39秒で完走し、完走時点で20万ユーロ以上の寄付金を集めた。そのバイクパートとランパートにZwiftを利用した。

オンライン上のバーチャル空間で自転車に乗る「Zwift」
利用料は月額1650円(税込み)。BluetoothやANT+による無線通信機能を備えたスマートトレーナー(10万円前後〜)と組み合わせる。スマートトレーナーは自動で負荷を調整し、平坦な道や坂道といった道の勾配を再現する。各メーカーが自社アプリとの連携利用を想定するほか、サードパーティーのアプリとも連動できるようにしており、Zwiftでは踏み込み出力の再現率誤差などの基準を設け対応するスマートトレーナーに認証を出している(写真:Zwift)

 Zwiftは、いわば自分のバイクがコントローラーとなるVR(仮想現実)サイクリングとして2014年にサービスを開始した。バイクの後輪部分にスマートトレーナーと呼ばれる装置を取り付け、バイクの出力をネット上の仮想コースでのバイクの動きに反映する。コースは現実の場所に因んだ場所も架空の場所も用意されており、時刻や天気によって変化するバーチャル空間での景色を走りながら楽しむことができる。

 また、バイクやホイール、アバター(自転車に乗っている人物)の外見やジャージを細かく設定することができ、オンラインコース上で他人と一緒に走ることも可能だ。「Zoom」や「Discord」などのビデオ通話アプリを併用して仲間同士でコミュニケーションをとることもでき、オンライン空間ながらも通常のツーリングに近い体験を得られる。