プロの露出から一般ユーザーに拡散

 当初、Zwiftはハイアマチュアの間で話題になっていたもののプロには「バーチャルのゲームをやっても速くなれない」とされていた。それがここ2〜3年で風向きが変わってきたところだった。米国ハワイ州コナで開催されるアイアンマン世界選手権大会で、10位入賞者のうち8人がZwiftユーザーだったなど、プロでの利用が盛り上がってきたのだ。

 同社公式イベントの一環として開催されるイベントZwift Academyが南アフリカのプロチームNTTプロサイクリング(旧dimension data)のトライアウトになったり、国際自転車競技連合(UCI)と「UCI Cycling Esports World Championships」を2020年に開催することで合意したりするなど、プロ層での利用が拡大していた。

 こうした状況の中、新型コロナ感染症の影響により都市封鎖や大会中止が相次ぐと、国内外のプロ選手が練習に加えてスポンサー企業のロゴを積極的に露出したりファンと交流したりする場としてZwiftを利用し、SNSで拡散した。レースを見て楽しむファン層にも認知が広がり、以前購入したロードレーサーバイクを再活用する人も増えているという。

 オンラインでの魅力の一つが、有名選手を間近に見ながら一緒に走れる点だ。2020年4月に開催された、イギリスに拠点を持つロードレースチームTeam INEOSと一緒に走る企画では、同時ログイン3万8000人を達成した。2019年10月時点での最高同時ログインは2万9000人で、半年ほどで1万人近く増えたことになる。同社ではユーザーの増加のためサーバー増強に追われているという。

仮想空間でイベントを開催
特に最近はチャリティーイベントで活用されている。Team INEOSのゲラント・トーマス氏はイギリスの国民健康保険サービス(NHS)へのチャリティーのためのグループライドを2020年4月に開催した。医療従事者の敬意を表して1日12時間走るトレーニングを公開し、約32万5000ポンドを集めた。Zwift自体も、2020年5月に新型コロナへの対応策を展開する国境なき医師団への寄付に向けて「Tour for All」を開催し、4週間に渡ってグループライドやレースを行っている(写真:Zwift)

 日本ではベータ版などの運用を2015年頃から始めた。従来、日本人を対象とするイベントの参加者は400〜500人だったが、2020年4月には参加者が1200人程度に急増したという。

 日本では自転車の通行に向く場所が少ないこと、猛暑や梅雨などで走りにくい季節が多いことから潜在的なニーズは高く、また海外アプリながらユーザーによる私的なイベント開催により日本人同士でまとまって行動できる点でも受け入れられていると、Zwift Japanではみている。横展開として、ランナーに向けてトレッドミルやスマートシューズを利用する「Zwift Run」もベータ版を提供している。

(タイトル部のImage:出所はZwift)