テクノロジー向上で診療精度を上げられるかが進展のカギ

 新型コロナの影響で、オンライン診療を取り巻く環境は大きく変化し、急拡大している。新たにオンライン診療システムを導入する医療機関も急増した。メドレー執行役員の田中大介氏は、「4月の医療機関からの資料請求件数は今年2月の8〜10倍に激増した」と話す。また、同社の第一四半期決算短信によれば、「CLINICSオンライン診療」の販売が増えた結果、診療予約からカルテ、レセプトまで統合したクラウド診療支援システムの利用医療機関数は前連結会計年度比7.1%増の1270件を突破したという。

 前述の「心臓血管外科オンライン外来」も、CLINICSのシステムを利用し、厚労省の事務連絡が出た1週間後に立ち上げたという。対象となるのは、心臓や大動脈の病気と既に診断された患者か、過去に心臓血管手術やカテーテル治療歴がある患者だ。初診の患者も受けられる。「実は心臓血管外科の診療はオンラインと相性が良い。そもそも心臓血管外科はある程度診断がついた人が受診するため、画像診断データなど必要なデータがそろっているケースがほとんどだからだ。一方で、心臓血管外科手術を行う医療機関には症例数や治療内容に地域差もあり、地域を越えてオンライン診療を行うことでそのギャップを埋めることも可能だ」と田端氏。

 4月末にサービスが立ち上がったばかりということもあり、実際にオンライン外来の利用者はまだ多くない。その一人である60代の男性患者は「非常事態のこの時期に初診でも診療を受けられ、待ち時間もなく診察してもらえたのがありがたかった。アプリの設定など、診察が始まるまでは家族とともに不安もあったが、画面を通してでも対面でき、緊張もほぐれた。居住地が遠方なので、できれば今後もオンライン外来の受診を続けたい」と話したという。

東京ベイ・浦安市川医療センター心臓血管外科部長の田端氏

 一方で、オンライン診療の弱点もある。「デメリットの一つは対面診療に比べて時間がかかること。これまでの経験からいうと、対面の1.5倍かかるイメージだ。また、対面ではイラストや模型などのツールを用いて説明するが、オンラインではその見せ方が難しい。さらに、患者本人だけでなく、家族も同席するのが通例だが、後ろにいる家族の顔が見えづらい場合もあり、表情などを確認して説明への理解を図るのも現状のオンラインツールでは難しい面もある。ただし、これらはすぐにテクノロジーで解決できるのではないか。また、オンライン診察では聴診や触診といった行為ができないが、これらも今後のテクノロジーで解決できる可能性がある」と田端氏はみる。