専門性高い診療科や疾病はオンライン診療に向く

 もう一つの新メニューである医師向けの「オンラインコンサルト」は、田端氏が代表理事を務める一般社団法人ハートアライアンスで行っている。ハートアライアンスは、心臓血管外科医と循環器内科医、麻酔科医、看護師、臨床工学技士、理学療法士などからなり、いわば、病院の垣根を越えたハートチーム(循環器治療チーム)。従来の常識にとらわれずに医療業務の効率化や働き方改革、人材育成、心臓手術の標準化などに取り組む組織だ。

 オンラインコンサルトでは、「手術が必要かもしれない」患者を抱えている医師に、手術の適応やタイミングなどを助言する。感染症拡大の中でもすぐに手術が必要なのか、数カ月待てる症例なのか、受診をした方がよいのかなどをアドバイスする。また、遠方の医療機関の場合には、地元でコンサルトや手術が可能な医療機関の情報なども提供する。「通常こうしたことは、面識のある専門医に相談することが多いが、それが難しい医師に活用してもらいたい」と田端氏。相談には、3つの病院に所属する15人の専門医が対応する。

 自由診療の「セカンドオピニオン外来」には、現在かかっている病院で手術しか治療がないといわれたが他に方法はないのか、かかりつけ医に勧められた手術がどのようなものなのか、といった内容の相談が多いという。田端氏は「より幅広い医療情報を求めており、遠方からの相談が多い。ただし、感染症の拡大に伴い、都内など近郊の人からの相談が増えた」と話す。

 患者負担は予約料の1080円に加え、10分ごとの診察料3240円。多くは30分程度の診察時間で1回の費用はおおよそ1万円強といったところだ。CLINICSではオンライン専門外来ネットワークを作り、てんかんと心臓血管外科領域でのセカンドオピニオン外来をメニュー化してきた。メドレーの田中氏は、「専門性が高く、地域の医療資源のギャップが大きい診療科や疾病については、オンライン診療のアドバンテージが高いと考えている。遠方の患者が直接診療を受けるには、交通費や時間の負担も大きく、それが軽減できる」という。

 「患者向け無料オンライン相談」というオンラインメニューは、東京ベイ・浦安市川医療センター、虎の門病院、ハートアライアンスそれぞれのホームページの相談フォームからアクセスできる。専門医がメールで回答する仕組みだ。相談内容は、心臓・血管の病気に関する受診の必要性や、検査、手術、カテーテル治療などの診療に関わるもので、診療は行わない。2017年以来、月に10件ほどのペースで相談があるという。

 新型コロナウイルス感染症の影響により一気に進展したオンライン診療やオンライン相談。今回の初診への保険診療の拡大などは時限措置で、今後保険の枠での診療ができないケースも出てくるだろう。しかし、専門性を生かしたオンライン診療の可能性が見えたことや、オンライン診療を経験した患者が感じた利便性が後押しとなり、加速の火は消えないと考えられる。

(タイトル部のImage:patpitchaya -stock.adobe.com)