何台あって、何台稼働していのるか分からない状況

そもそもどういった課題があってこのプロジェクトを立ち上げたのでしょうか。

松下 毎年、医療機器購入費として一定の枠があるなかで、これまでは各部署や診療科から出てきた要望に対してその都度、審査を行い淡々と進めてきました。そのなかで、例えば高額の放射線機器などは稼働実態がよく分かる。放射線機器を使って行った診療行為はすべて保険に反映されるので、毎日何件あったか、どの診療科でどういう内容の診療が行われたのか100パーセント把握できます。

 それに対して、超音波診断装置は病院内にいま何台あって、実際に何台稼働していのるかも分からない状況でした。購入の記録があってもそれが現在も稼働しているのか、どこかで埃をかぶっているのかも分からない。無駄な機器が廃棄されないままメンテナンスの費用だけかかっていることもありうる。いっぽうで毎回多くの購入申請があり、本当に必要なのかよく分からないまま感覚で採用しているという課題に直面していました。

なぜ超音波診断装置は稼働実態を把握できていなかったのですか。

松下 これには超音波診断装置特有の事情があります。機器の進化により非常に高精細な画像が得られるようになり、各診療領域に急速に普及していきました。各診療科からオーダーを受けて検査技師さんが行うような検査はすべて把握できていたのですが、多くの超音波診断装置は現場でドクターがいわば聴診器のように日常的に使う状況になっていました。

副院長の松下睦氏

 そこでまず、病院にあるすべての機器を調査しました。人海戦術でとても大変だったのですが、実際にやってみると病棟の倉庫の中に放置されていて先生がその存在も忘れていた、というようなものがやはりありました。ただ現有の台数が分かっても実際にどれだけ使っているかが分からない。そこで次に、とてもアナログなのですが機器の横に紙をぶら下げて利用したら書くというルールにして稼働状況の可視化を行いました。とはいえ、現場は忙しいうえに手書きなので、書き漏れやミスがあるでしょうし、機器の購入や運用を効率良く行っているとは言えない状況でとても困っていました。