きちんと収集したデータで示せば説得力が増す

今回の中間報告で示したような効果が得られるまでのプロセスを教えてください。

松下 まず、超音波診断装置にセンサーを取り付けたことで、どこでどのくらい使われているのか、稼働実態を把握できるようになりました。ただそれは基礎の基礎。単純にデータだけで判断できるということはありえません。

 GEヘルスケアの担当者が現場に足繁く通って実際の使われ方や人の動きを観察し、一番実情を知っている現場の人間とも連携して何が一番良いのかを練っていきました。そのうえで、例えば稼働率が低い2台の超音波診断装置を1台にして、2つの診療科の中央に置いてシェアしてはどうか、などを現場に丁寧に提案していきました。

 また、ある診療科では新しい機器に更新する必要があるけれど、いま使用している機器はほかの診療科で十分に使えるというケースもあるので、「メルカリ」ならぬ「メディカリ」というニックネームを付けて病院内で再利用をできないか提案していきました。その結果、以前では頭からはねつけられていたような提案も少しずつ受け入れられるようになってきました。

各診療科で受け入れられるようになってきたポイントはどこにあると思いますか。

 やはり、きちんと収集したデータがあること。単にトップダウンでやるとなると現場の反発は大きくなりがちですが、実際に稼働数が何回でしたと数字で示すと説得力が上がります。

 さらに、人間の目でしっかり実地調査をして現場の方も納得できるカタチで提案をすること。また、GEヘルスケアの担当者だけに頼るのではなく、経営層が強いメッセージを出すことも重要だと感じました。

実際にどのような効果が得られているのでしょうか。

松下 先日の中間報告にあった通り、2年間で超音波診断装置の総台数を114台から95台に最適化。稼働状況を基にハイエンドな機器を新規に導入することで医療の質向上にも寄与できました。

 さらに予想外の効果と言えるのが、救急外来におけるエコー検査の実施記録漏れが明らかになったこと。例えば外傷で来られた患者さんの場合、内部で出血していないか、腹部や胸部を超音波診断装置で検査するというのがルーチンになっています。本来は保険診療で診療費を請求できるのですが、これが多くはとられていなかった。過剰診療をしているのではなく、きちんと必要な検査をしていたのに、病院の収益から漏れていたわけです。これを改善するために新たにワーキンググループを立ち上げ、結果として年間800万円の算定漏れの改善を実現できました。

中島 これについては機器の選定にも問題があって、例えば放射線機器では撮影した画像データがすべて自動でサーバーに残る仕組みなのですが、救急外来で使われていた超音波診断装置は一度プリンターで印刷してそれを画像で取り込むといったとても面倒な作業が必要でした。そこで、救急の忙しい現場の方々が使いやすく算定しやすい仕組みを取り入れました。

経営企画部 部長の中島雄一氏

 これがきっかけになって病院内の各職場、職能の人間がつながり、改善に向けた取り組みを実施しやすくなったことも大きな効果だったと思います。