リモートワーク環境の健康維持にもニーズ

 同店舗で1万円以上の高額な商品の中でヒットしているのが、リモートワークをきっかけに、自身の健康を見直そうという視点の仕事道具だという。運動不足になったり、自宅のダイニングチェアやソファなどで仕事をする機会が増加したことで、肩こりや腰痛、頭痛といった不調に悩まされる人が増えたからだ。

 そうしたリモートワークで環境が変わったビジネスパーソンの健康に対するニーズを捉えたのが、名古屋市のクッション・ピローメーカーの「ジスクリエーション」が発売する「ISU-ZABU」だ。ISU-ZABUは、椅子や座椅子と組み合わせて使用する、座布団の進化版。

 体に負荷のない姿勢は、背骨がゆるやかなS字カーブを描いた状態だと言われている。しかし、パソコン作業に集中していると、どうしても前のめりになったり、猫背になったりしてしまうことが多い。ISU-ZABU には45㎝程度の背もたれが付いている。その背もたれを折り曲げて使用することで、背中のカーブを支え、正しい姿勢に導いてくれるというもの。

ジスクリエーション」が発売する「ISU-ZABU」。背もたれを伸ばしたり折りたたんだりすることで、リラックスしたい時、パソコンなどの作業をしたい時などそれぞれの状況に合わせ、負担の少ない姿勢になるように調整できる

 コロナ禍以前、東京オリンピックを見据えたリモートワークへのニーズを見越して開発したものだが、自宅勤務が突然求められるようになったことで、急速に需要が高まってきたと言う。ここ数ヶ月間で1500個を販売。愛知県豊橋市の製綿会社の職人が1つ1つ手作りしている商品ということもあり、現在は生産した途端に在庫がはけていく状態だという。

 同様に、「バランスボール」と呼ばれる球状の椅子に高級ソファーに使われる生地を被せ、インテリア性を高めた米vivora社の「Luno」も、この4月から需要が高まり、人気の商品となっている。

米vivora社の「Luno」。バランスボールに高級ソファに使われる生地を被せ、インテリア性を持たせることで人気商品となった

 これら商品に共通しているのが、自社の技術を生かしつつも変わりゆく市場を観察しながら消費者のニーズを捉えようとする、ものづくりの姿勢だ。社会の変化を先読みし、そこで起こるであろう、ユーザー自身すら感じ得ないようなちょっとした不便を敏感に感じ取りながら、それをこれまでその企業が培ってきた技術や素材で解決する。ユーザーを綿密に観察しながら社会課題の解決につなげるという、まさに「デザイン思考」のプロセスを活用したものづくりは、世の中の流れが大きく変わる時にこそ有効になる。

(タイトル部のImage:patpitchaya -stock.adobe.com)