開発のきっかけは…

 今回の製品開発のきっかけとなったのは、繊維専門商社である豊島からの紹介でXenomaが企画・開発・製造に協力し、アーバンリサーチが2020年6月に発売した「デジタルヘルスケアパジャマ」だった。アーバンリサーチが若い女性向けに健康と美容に向けた新しい製品を企画していることを豊島が把握し、豊島がコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)ファンドで投資するIT企業の1社であるXenomaを紹介した。

アーバンリサーチが2020年6月に発売した「デジタルヘルスケアパジャマ」。ポケットの内側にハブなどを配置している(写真;アーバンリサーチのプレスリリース)

 豊島がCVCファンドを立ち上げたのは2017年。ブランドなどを展開するアパレルメーカーがITなどに関して何か新しいことをやりたいという意志があっても、土地勘のないIT業界で個別にベンチャーに当たるのは難しい。豊島では商社として従来、アパレルメーカーなどの顧客に衣類向けの新素材などを提案しており、同様にアパレルに関連するIT技術のベンチャーを紹介するなどの目的でCVCファンドを設立し、ベンチャー企業への支援を進めてきた。

 IT企業であるベンチャー側にとっては、アパレル業界での生産支援などが大きな支えになるという。「アパレル業界は独特で対応が難しい。例えば、一般には工場側が材料などを用意して製品を生産しオーダー側に納入するケースが多いが、アパレル業界ではオーダー側が原価を持ち全材料を用意して工場に入れるのが一般的。材料や工場を探す際はもちろん、こうした商習慣の違いなどを理解する上でも豊島の支援は大きかった」(Xenoma Co-Founder 代表取締役CEOの網盛一郎氏)。

 一般のアパレルメーカーが販売するスマートパジャマ開発の経験を持つことで、センサー類を一カ所に集中させて副資材化し、より幅広いアパレルメーカーがそれぞれ自社製品に採用できる形にするという新製品の方向性が定まったという。「一度、アーバンリサーチ向けの製品で製品の企画、開発から生産までコントロールしたことで、アパレル業界として切り出せる部分が理解できた」(網盛氏)。

 実際、「e-skin Sleep&Lounge」は豊島が2021年5月に開催した「スマートウエアWEEK」で紹介したほか、Xenomaら複数社によるプロジェクトチームが睡眠計測機能搭載パジャマとして製品化し、「Makuake」でのクラウドファンディングを2021年4月~5月に実施した。「e-skin Sleep&Lounge」はスマートウエアから機能を切り出し各アパレルメーカーが採用できる形にしたことで、Xenomaにとって初の一般消費者に向けた大量量産品となった。「デジタルヘルスケアパジャマ」は2万9000円(税別)であり、「e-skin Sleep&Lounge」採用製品も同等かそれ以下の価格になるとみられる。