4系統を同時開発

 Xenomaでは布への配線技術やセンサー搭載技術を生かし、現在4系統の製品について開発を進めている。前述した睡眠計測に向けた「e-skin Sleep&Lounge」のほか、当初の「e-skin」に近くモーションキャプチャー向けの「e-skin MEVA」、EMS(Electrical Muscle Stimulation:筋電気刺激)向けの「e-skin EMStyle」、そして医療機器を想定した心電計測機能を備えるシリーズである。

 「e-skin MEVA」は全身のモーションキャプチャ―に向けたもので、上半身10カ所、下半身7カ所、頭部1カ所の計18カ所に9軸センサーを備える。1カ所ずつ方向が分かることから、全体をつなげるとモーションキャプチャ―になるという仕組みだ。手足の甲にもセンサーを設置することで、手首や足首の動きも検知できる。配線の50%引っ張り時の抵抗を第1世代の600Ω/cmから今回の第2.5世代では100Ω/cmにまで抑え安定させることで、1~2度といった高い精度でのモーションキャプチャが可能になったとする。

「e-skin MEVA」とXenoma Co-Founder 代表取締役CEOの網盛一郎氏。「e-skin MEVA 『LETS WALK』」では「e-skin MEVA」の下半身版を利用する。足の甲部分にもセンサーを搭載しており、足首の動きも検出できる(撮影:Beyond Health)

 同製品の下半身版を活用して、需要が高いとみられる歩行に特化した「e-skin MEVA 『LETS WALK』」を開発した。着用して歩くことで、歩幅や歩行速度、つま先高さ、左右バランス、リズムから歩行を採点する。同時に歩隔(歩行時の左右足の間隔)や内外旋といった歩行に関するパラメータも計測できる。リハビリを行う病院や介護施設、シューフィッターなどでの利用を想定する。既存のカメラとマーカーを使ったモーションキャプチャ―システムなどと比べると計測が容易で股下などの死角がなく、簡単な圧力センサー式の歩行計測機などと比べると多くのパラメータを高精度に計測可能で空中の足の運びも検出できるといった特徴を備える。

 2020年9月に高輪ゲートウェイ駅前で開催された未来の街のヘルスケアをテーマとした展示「5 Days CITY」では、5日間で324人もの歩行データ計測を実施した。価格は下半身用スーツ1着、ハブ、計測用PCの最小構成に歩行解析アプリを加えて100~200万円程度で、カメラを使ったモーションキャプチャ―と比べるとコストも抑えられるとする。

高輪ゲートウェイ駅前で開催された展示「5 Days CITY」での計測の様子。短時間での歩行解析を実現できる(写真:Xenoma)

 「e-skin MEVA 『LETS WALK』」の検証も行っている。リハビリの経過を観察として、神奈川県総合リハビリテーションセンター(神奈川県厚木市)などいくつかの病院で利用し論文発表の準備を進める。また、2021年5月には東京工科大学医療保健学部(東京都大田区)と共に歩行パラメータと反射速度や記憶力、注意力といった脳の基本的な認知機能の相関性を探るべくデータベースを作るプロジェクトを開始した。