「第24回 日本医療情報学会春季学術大会」(主催:日本医療情報学会)が2020年6月5~6日に開催された。当初は、つくば国際会議場(茨城県つくば市)での開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けてオンライン開催で行われた。

第24回 日本医療情報学会春季学術大会のポスター。当初はつくば国際会議場での開催する予定だった(出所:日本医療情報学会)

 プログラムにおいても急遽、緊急企画が設けられた。アフターコロナの医療や医療情報をテーマにしたパネルディスカッションだ。登壇したのは、医療や介護現場の第一線に従事したり、医療・介護情報研究に携わったりしている専門家5人。座長は、東京大学大学院 社会医学専攻法医学・医療情報経済学講座 准教授の脇嘉代氏が務めた。

新たな社会設計が進んでいく

 新型コロナが社会や医療の姿を大きく変える。そう発言したのは、黒田知宏氏(京都大学医学部付属病院 情報企画部長)、河添悦昌氏(東京大学大学院医学研究科 医療AI開発講座 特任准教授)、武藤真祐氏(医療法人社団鉄祐会 理事長)だ。

 京都大学医学部付属病院の黒田氏は、新型コロナがもたらす社会変化に言及した。「ICTを活用して人とのつながり(コミュニケーション)を保ちながら、直接の接触を避ける。このような考えは、新型コロナの影響で社会全体に浸透しつつある。新たな社会設計が進んでいく」(同氏)。

京都大学の黒田氏(写真:オンライン講演の画面キャプチャー、以下同)

 実際、同病院では新型コロナ対応として新たなシステムを導入した。それはまさに、患者・家族と医療者、医療者同士など人とのつながりを保ちながらも、接触を避けるコンセプトに基づいたものだという。

 さらに特筆すべき社会の変化として、人々の行動や生活を追跡し、新型コロナ感染の可能性がある人を特定するといった仕組みが議論されるようになったことを挙げた。これまではプライバシー保護の観点からタブー視されてきた議論だ。しかし、新型コロナはそのタブーさえも変えつつあると指摘した。「リスクを取る社会的コンセンサスが、ようやく出てきた」(黒田氏)。

 黒田氏はこうした社会や意識の変化を踏まえ、アフターコロナに向けて医療情報研究者のあるべき姿を幾つか提示した。
・ICTが可能にすることの探究
・正しい情報を発信しつづける科学的コミュニケーションの推進
・情報を取り巻く倫理や法制度のあり方の議論と発信