スマホが普及している途上国でも

 実は、美濃部氏は、VitaNoteを構想していた10年以上前から、VitaNote Quickのビジョンを描いていたという。根底にあったのは、発展途上国の子供たちの栄養状態を把握できる手段を作りたいという思いだった。

 過去に発展途上国を訪れた同氏は、野菜や魚は廃棄されるほどあるのに、砂糖がたっぷり含まれたお菓子やジュースを手にする状況を目の当たりにした。正しく栄養を摂取するための物差しがないため、バランスの取れた食事ができていなかったのだ。検体の輸送を必要とせずに栄養検査を行えるVitaNote Quickの開発によって、こうした事態を解決する手段がようやく得られた格好だ。

 発展途上国では、意外にもスマートフォンの普及率が高く、「どんなに貧困でもスマートフォンは持っているという人が多い」と同氏は話す。こうした実態を受けて、発展途上国でも、個人のスマートフォンを使ってテストペーパーを撮影してもらうことを想定している。

結果の画面イメージ(出所:ユカシカド)

 国内においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、「健康に対するリテラシーが上がっている」と同氏は指摘する。予防や免疫を意識する人が増え、多くの人が予防に重要な運動と休養、栄養の3つを大切にしようと考え始めている。

 特に、子供がいる家庭からの問い合わせが増えているという。休校や時差通学を余儀なくされ、これまで、学校や幼稚園の給食に一部頼っていた子供の栄養管理を「家庭で行おうとする人が増えたからではないか」と美濃部氏は見ている。

 国内でも、カロリーは足りているけれど偏食や好き嫌いの影響で生命維持に必要な栄養物質が不足している新型栄養失調の子供が増えているといった報告がされている。健康へのリテラシーが上がり、エビデンスに基づいた正確な情報を参照する習慣がついてきたコロナ禍だからこそ、客観的に栄養状態をトラッキングして食生活を見直すことへの機運が高まりそうだ。

(タイトル部のImage:出所はユカシカド)