医療機器の相互利用は患者にもメリット

日光ヘルスケアネットのウェブサイト

 「地域医療機関が一体となって医療提供体制の維持・確保を図るとともに、介護・福祉の充実にも努め、地域医療構想の達成と地域包括ケアシステムの構築に積極的な役割を果たす」──。これが日光ヘルスケアネットの理念だ。運営方針は、それをより具体化し、参加医療機関相互の機能分担・業務連携による良質、効率的、安定的な医療提供体制づくりや、回復期病床の充実を図るための病床種別の転換などを掲げている。

 さらに、「医療従事者の確保・育成のための仕組みづくり」「医療機器等の共同利用等が行える仕組みづくり」「在宅医療の充実のための取り組み」などを連携推進業務として計画している。

 2019年8月には、下表に掲げた4つのワーキンググループ会議を立ち上げ、事業内容の具体的な検討に着手した。

ワーキンググループ会議と検討内容
日光ヘルスケアネットのウェブサイトより。その他、「ホームページを通じた普及啓発」、「専門職募集の一部共同実施」、「研修会の共同実施」、「地域医療介護総合確保基金の事業アイデアの提案」について、上部組織の実務者協議会などで検討している

 これらのうち、参加医療機関に生じるメリットが大きく、かつ議論が進んでいるのが医療機器の共同利用。「マニュアルの素案ができあがりつつあり、地元医師会で調整に入っている。今年度前半に契約するところまで持っていきたい」と事務局長の亀田氏は話す。獨協医科大学日光医療センターはもちろん、すべての参加施設が所有する機器を、相互に使える仕組みにする方向。「外来を受診せず直接検査を受けに行けるので、患者のメリットも大きい」(亀田氏)。

新型コロナで一部計画停滞も、プラットフォームで横の連携は進展

 一方、機能分化・連携とそれに伴う患者紹介など、医療連携の中核をなす業務の検討はこれからが本番。「時間をかけて丁寧に進めていきたい。入退院調整のワーキンググループでは、円滑に紹介できる仕組みづくりを検討している。今年度は回復期病床を確保するために、機能分化・連携に関する計画づくりも行う予定。参加している医療機関で十分議論した上で、作成していきたい」と話す。

 ウェブサイトを立ち上げて、住民や医療従事者に対する地域医療連携推進法人の普及・啓発にも力を入れている。看護師をはじめとする専門職が登録できる画面も設け、地域で働いてくれる医療スタッフの発掘も実施。市内の医療機関は、どこも人員に余裕があるわけではない。一定の経験を積んだスタッフが、将来日光ヘルスケアネットの参加施設に就職してくれるのを期待しての取り組みだ。今年度中には連携推進法人のロゴマークも作成し、さらに地域への浸透を図る予定だという。

 だが、新型コロナウイルスの感染拡大は、日光ヘルスケアネットの事業にも影響を及ぼした。例えば企画した市民向け講座は、感染防止のために中止に。医療スタッフ向け専門研修も中断を余儀なくされている。

 一方で、連携推進法人のメリットを知らしめた面もある。保健所や市などと、参加している医療機関の情報交換の場となったのだ。これまで市内の病院に一堂に会してもらうには、調整にかなりの時間と労力が必要だった。それが連携推進法人というプラットフォームがあり、メール1本で連絡が取り合える関係ができていたため、発案から1週間で開催にこぎつけることができた。

 「参加している病院や老人保健施設で感染者が出た場合に、他の患者や入所者をどこでどう受け入れるかなど、検討すべき事項が浮き彫りになった」と、亀田氏は情報交換の成果を話す。