急性期2病院の新築移転への対応がカギに

 日光ヘルスケアネット発足の背景には、参加病院の新築移転計画もあった。最も病床数の多い獨協医科大学日光医療センターが、2023年をめどに現在の市の東端から、10㎞ほど南のJR今市駅に近い産業団地に移転を予定しているのだ。

獨協医科大学日光医療センター。施設の老朽化などを理由に、2023年をめどに同じ市内で新築移転の計画を進めている(提供:獨協医科大学日光医療センター)

 移転に際しては、県の土地公社が開発した土地を、市が買い上げ無償で同病院に貸与する計画だ。幹線道路にも近い場所でアクセスは大幅に向上、市外の医療機関を受診していた患者の一部が戻ってくるなどして、患者数の増加が予想される。だがベッド数は現状維持の計画のため、すぐ満床になり、新規の入院受け入れが難しくなる事態も想定される。それを防ぐためにも、市内の他の病院や介護施設と積極的に連携し、可能な患者の転退院を促進する必要があるわけだ。

 日光市では、同センターと次に規模の大きい医療法人明倫会今市病院が、急性期医療の主な担い手となっている。日光医療センターが移転すれば、今市駅の周辺に機能が近い2病院が立地することになる。実は今市病院も、同時期に近隣への新築移転を計画しており、やはり患者数の増加が考えられる。そのためこれら2つの病院の機能分担と連携が、地域医療の大きな課題となるわけだ。

 一方、市立の6診療所のうち、休日急患こども診療所を除く5診療所は、医療資源の乏しい地域に位置している。地域医療の砦として総合的な診療を行っており、機能分化・連携の計画の中に、自治体立の医療機関ならではの役割を明記したいという。そのうえで、「在宅医療の拠点化を目指すなど、さらなる機能向上を図りたい。診療所間の医師の相互派遣も検討したい」と亀田氏は語る。

 新型コロナウイルスという思わぬアクシデントに見舞われた日光ヘルスケアネット。「規模や機能があまり違わない病院が参加した連携推進法人はほかになく、情報入手の面などで苦労はあるが、私個人としては、設立初年度に一定の課題に取り組めたと思っている」と亀田氏は話す。2023年という期限を考えれば、設立2年目の今年度は、連携推進法人のさらなるメリットを参加施設や地域にもたらすことが求められるだろう。

(タイトル部のImage:patpitchaya -stock.adobe.com)


出典:「新・公民連携最前線」2020年6月25日付の記事より