介護の実態をデータ化して問題を特定

 「介護保険法の上での人員配置は3:1ですが、現状では施設の全国平均は2:1ほどになっています。将来的な人員不足の問題を解消するためにも、我々は現場の生産性を上げることで、この数字をより3に近づけてくことが必要だと考えています」。(宮本氏)

 一般のサービス業であれば、技術革新や企業努力などで、より少人数での業務を可能にし “生産性”を上げることができる。ところが介護業界では法律で人員削減の上限が定められている状態なのだ。

サンタフェ研究所所長の松村昌哉氏

 「もちろん、介護は基本的に労働集約型のサービスです。現場から人の手をなくしてしまうことはできません。ただ、ロボットやセンサーの技術を効果的に使うことで、より効率的な業務の推進は検討できるはず。そうした思いから2013年に『介護ロボット研究室』を、そして17年、蓄積された見地と技術を福祉業界全体に広めていくための『サンタフェ総合研究所』を設立しました」と松村氏はいう。

 介護ロボットとは、いわゆる人型のロボットから、腰や腕に装着するもの、また広義には天井や床に設置するセンサー類までを総称する概念だ。これら機器の研究・開発はもちろん、既存の商品のモニタリングから検討まで、業務は幅広い。

 まず、介護とはそもそもどういった仕事なのか。スタッフたちの24時間を細かく検証することで何にどのくらい時間を割いているのかをあぶり出した。

 「ストップウォッチを片手に、秒刻みで計っていくのです。食事介助、着替えの手伝い、トイレ介助、声かけ、事務作業……。ありとあらゆる業務にどれだけの時間が要されているのかを可視化し、検討材料としたのです」。(松村氏)

 こうした細かい作業のおかげで、「直接介助(食事介助や着替えの手伝いなど)」「間接介助(声かけや見守りなど)」「間接業務(連絡や事務作業など)」の時間配分と、ロボット機器との相性が見えてきた。

 「我々の施設では『ハイブリット特養プロジェクト』と題し、1つのフロアに集中的に機器を導入することで、その効果の有無を検証できるように工夫しています。これまで100種類以上のロボットを導入し、検証・検討を重ねてきました。結果、特に業務の削減が図れそうなのが、センサー機器との相性がいい『間接介助』の部分でした」(松村氏)。