3つのサービスを統合して新サービスに

 そして開発されたのがスマート介護プラットフォーム「SCOP(Smart Care Operating Platform)」。これはセンサー機器のまさに集大成だ。排尿のタイミングを知らせてくれる「Dfree」(トリプル・ダブリュー・ジャパン)。立体的な視野で入居者の動きを知らせる「シルエット見守りセンサ」(キング通信工業)。刻一刻の眠りの状態を知らせる「眠りSCAN」(パラマウントベッド)。以上3つのセンサー機器を1つのプラットフォームに集約したのがSCOPだ。「尿意」「動き」「眠り」、入居者の状態を多角的に捉えることで、『今どういった状態なのか』『駆けつけの必要があるのか』『声かけだけで対処すべきか』などの判断ができる。

「SCOP」の概要。各種センサーからのデータを受け取り効率的に介護を行う(出所:善光会)

 宮本氏はこう話す。

 「うちの施設は、夜勤時の16時間は、20人のお客様に対して、介護職員が1人で対応するシフトになっています」

 全国どこの施設も、夜勤はこのくらいの人員で回している。中には50人の入居者に対して1人、という施設さえある。だから「夜勤の間は座るヒマもない」といった愚痴をよく聞く。

 「以前、夜勤帯のスタッフの総移動距離を計測したことがあります。多くのスタッフは1回の夜勤で10キロメートル前後を移動していることが分かった。中には15キロメートルというスタッフもいて、計測したこちら側も驚いたほどです」(宮本氏)

 SCOPを導入したおかげで、スタッフの手待ち時間が大幅に増加し、「巡回・見守り」を中心に約37%の業務効率が向上したというから驚きだ。ほかにも、セグウェイをはじめとする各種機器の運用も行っているが、その詳細については後編に譲る。

 「現在、私どもの運営する施設の人員配置は平均2.8:1までになっています」(宮本氏)。

 介護ロボットやセンサー技術を駆使し、マンパワーを裏から支えてきたおかげといえそうだ。だた、これらロボット機器をいくら導入しても、運用できる人材がいなければ宝が生かされることはない。そこで今年始まったのがスマート介護士資格だ。

 「実際の業務で介護ロボットやセンサー機器を効率的に活用して、現場をリードしていくことのできる介護士を育てるために、善光会が主導するかたちで立ち上げた資格です。今年3月に第1回の試験を行いました。現在全国に1000人弱のスマート介護士が活躍しています」(宮本氏)

 後編では実際のスマート介護士に登場いただき、実際の介護ロボットやセンサーの詳細について語っていただく。

(タイトル部のImage:末並 俊司)