決済の多様化は貸し倒れの自己防衛

 キャッシュレス決済は、医療機関の未収金対策としての役割も期待される。

 厚生労働省が2018年に行った外国人の医療費支払いに関する調査によると、回答した病院の18.9%に当たる372軒で約3000件の未払いがあった。未収金の平均額は42万円で、最高額は1423万円。自由民主党の外国人観光客に対する医療プロジェクトチームが6月にまとめた提言にも、未収金対策として「キャッシュレス化を含めた医療機関向け支払い支援の整備」が盛り込まれている。

(写真:福知 彰子)

 そもそも、医療費の未収金は全国で累計1000億円超との見方もあり、病院やクリニックの経営を圧迫している。厚生労働省医政局の委託調査(対象期間は2018年10~11月)では、半数以上の医療機関で5%以上20%未満の患者に未収金が発生している。「保険診療の自己負担金が回収できず貸し倒れになると、医療費の値引き行為と見なされ、法令に抵触する可能性もある。医師が患者の命に関わる治療を優先するのはやむを得ないことで、その結果、コンプライアンス体制を問われるのではあまりに理不尽」(小柳社長)。

 戸別訪問などによる未払い料金の回収業務は、医療従事者の時間を奪うのみならず、精神的なストレスにもなる。小柳社長は「医療機関におけるキャッシュレス対応のメリットは、患者の満足度向上だけに止まらない。貸し倒れの自己防衛策としての期待も大きい」とした上で、「未収金や債権管理コストの削減額も視野に入れ、これらの効果がキャッシュレス決済導入による追加コスト(手数料負担)を上回るのであれば、システムの導入を前向きに検討してほしい」と話す。

(タイトル部のImage:福知 彰子)