ケアの理念は「あきらめない福祉」

 介護施設を運営する若山氏のケアの理念は「あきらめない福祉」だ。

 高齢だから、認知症があるから、体力が落ちて日々の暮らしが不自由になったから。人は様々な理由で様々なことを諦める。これが重なれば生きている意味まで見失ってしまうことになりかねない。

 ペットは家族、またそれ以上の存在であることもしばしばだ。ペットロスが生きる気力を奪い去ることすらある。そうした不幸をひとつでも減らしたいと、若山氏はいう。

(写真:末並 俊司)
(写真:末並 俊司)
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 「動物たちの存在はご利用者さんにだけプラスなわけではありません。スタッフのやる気にもつながっている面があるのです」

 通常、ユニットタイプの施設は各ユニットに専任のスタッフをつける。毎日同じ人が家族的なケアをすることで利用者の安心感も増す。

 動物がいるユニットのスタッフはそこを希望して就職する人がほとんどだ。勢い定着率も高い。また、排泄物の処理や散歩などの日常業務が増えるのだが、これに不満を漏らすスタッフはいない。逆に楽しんでいる様子さえあるという。

 「負担は増えるのですが、負担感は増えない。そんなふうに言ってくれるので、こっちとしても助かっています」