動物と暮らす施設の必要性

 動物と一緒に暮らせる施設。いい事ずくめのように思えるが、公の施設である特別養護老人ホームでは全国でも珍しい。

 認可する側の自治体としては「なにかあると困る」というのが本音だろう。考えられるのは噛みつきなどの事故と衛生面の対応だ。だが、さくらの里山科ではそのどちらも問題になったことはないという。

 「ペットたちは適切に接していれば攻撃することはないし、排泄物の処理などはきちんと躾けをすればさほど手間ではありません。衛生面に関しては、清掃、消毒など介護施設としては日常業務です。こちらもあまり問題ではない。餌やりや散歩もボランティアさんなどの力を借りてやっています」

若山氏に散歩に連れて行ってもらう文福(写真:末並 俊司)
若山氏に散歩に連れて行ってもらう文福(写真:末並 俊司)
[画像のクリックで別ページへ]

 同施設のある神奈川県横須賀市は、動物の殺処分ゼロを掲げて努力を重ねてきた自治体だ。そうした背景もあってペットと暮らせる特別養護老人ホームの存在を見守っている。

 さくらの里山科の成功は大きな第一歩といえる。ペットと離れることで生活を質を下げる例を減らすため。飼い主と離れて行き場を失う動物たちを減らすため。同様の取り組みが広がることを願いたい。

(タイトル部のImage:出所はさくらの里山科)