2021年7月、東京都府中市。あるスタートアップの担当者が説明するアプリの使い方に、熱心に耳を傾ける高齢者たち。実は「オンライン」のみでつながっていて、お互いの本名や住所などは知らない高齢者たちだ。とはいえ、そんな雰囲気はあまり感じない。アプリが高齢者の“心と体”を変えるかもしれない――そんな近未来が透けて見えた光景だった(小谷 卓也=Beyond Health)。

 そのアプリとは、スタートアップのエーテンラボが提供する「みんチャレ」。見ず知らずの5人1組でチームを組み、互いに励まし合いながら健康、学習、趣味などの習慣化を目指すアプリだ。既にユーザーは80万人を突破。みんチャレによる習慣化成功率は1人で行なう際の8倍とも言われており、行動変容を促すデジタルツールとして脚光を浴びている(関連記事:人はこうすれば“ハマる”、源流はゲーマー視点の「幸せ」)。

高齢者に向けてアプリの説明をするエーテンラボの社員(写真:小口 正貴)
高齢者に向けてアプリの説明をするエーテンラボの社員(写真:小口 正貴)
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 その特性から、ヘルスケア領域との相性も良い。これまでも神奈川県の「神奈川ME-BYOリビングラボ」と連携して2型糖尿病・予備群における生活習慣改善の効果検証を行なったり、糖尿病患者のHbA1c値の変化を調査する臨床研究を実施したりしてきた。2020年の経済産業省主催「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト」では、優秀賞・企業賞を受賞している(関連記事:[詳報]経産省ヘルスケアビジコン、5代目グランプリ決定)。

 今回の取り組みにつながったのは、2020年10月開催の「ガバメントピッチ」(経済産業省関東経済産業局主催)。民間企業との連携に意欲を見せる自治体が、スタートアップに向けて、共に取り組みたいヘルスケア分野の地域課題やニーズを発信するイベントである(関連記事:ヘルスケア分野の地域課題やニーズを4自治体がプレゼン)。これをキッカケに府中市とエーテンラボは連携に至り、みんチャレを活用した「フレイル(要介護のリスクが懸念される状態)予防事業」に着手した。冒頭の光景は、この一環というわけだ。

東京都府中市で始まったみんチャレによるフレイル予防(出所:エーテンラボ)
東京都府中市で始まったみんチャレによるフレイル予防(出所:エーテンラボ)
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 なお、エーテンラボでは先行する府中市を皮切りに、2021年7月より神奈川県横須賀市、同年8月より西東京市、その後に東京都・神奈川県の6地域の市民向けに実証事業として順次展開し、みんチャレの介入効果を検証していくという。