楽天メディカルのプロジェクトに大変感謝

がんに対する免疫を抑える仕組みを働かないようにする研究を進めていますね。

小林 がん細胞が免疫による攻撃を逃れる仕組みとしては、本庶佑先生のノーベル賞受賞でよく知られるようになったPD-1/PD-L1や、調節型T細胞の働きがあります。動物実験の段階ですが、PIT療法と同時にPD-1阻害薬を投与する研究や、がん細胞ではなく、調節型T細胞を抗体複合体で攻撃する研究を進めています。

 その結果、PIT治療とPD-1阻害薬を併用したマウス実験では、複数の部位に発生させた大腸がんのうち、1カ所だけにレーザー光を当てたところ、光線を当てていない部位のがんも消失し、8割が完治(がんが画像上消失)するという劇的な結果が得られました。また、調節型T細胞に対するPIT治療併用については現時点で論文審査中ですが、より多種類のがんに有効との結果が得られています。

光免疫療法(photoimmunotherapy)をデータベースで検索すると1983年以降、多くの研究者が手掛けてきたようです。

小林 抗体で光吸収剤を運搬するという試みは以前からありました。しかし従来の研究は、試験管内では細胞毒性を発揮するものの、抗体複合体が不溶性であるため、静脈注射では腫瘍に届かなかったり、活性酸素で細胞破壊をもたらす仕組みで、数時間の光照射が必要などといった特性がありました。私たちは、以前の研究とは異なることを示すため、新たな治療法の正式名称を「近赤外光線免疫療法(Near Infrared Photoimmunotherapy)」としています。

楽天メディカルが実施した臨床試験では好結果が得られましたね。

小林 私がこの治療法を開発した目的は、できるだけ多くのがん患者さんに、少しでも早くお役に立つことです。ですから、三木谷浩史さんがあれだけ多忙な中、多くのエネルギーを割いて楽天メディカルのプロジェクトを進めていることに、大変感謝しています。

(タイトル部のImage:小林 久隆氏が提供)