家で過ごす時間が長くなったからこその楽しみ方

 ラベンダー畑に5分間滞在するだけで身体に良い影響があるのならば、積極的に自然との接点を増やしたいところ。しかし、今年の夏は登山や海水浴が難しい。また、テレワークを継続する企業もあり、家にいる時間は長い傾向が続くだろう。そうなると、熱中症対策と三密対策を行ったうえで近所を散歩するのが手軽で良さそうだが、ある程度の規模、雄大さのようなものがないと効果は得られないのだろうか。

 「植木鉢1つでも大丈夫。ある研究報告ではフェイクグリーンでも効果があった。重要なことは本人が植物や緑に触れて『心地よい』と感じられること。フェイクだと気付いてしまうと効果がなくなる。また、植物や緑の効果は五感のすべてで感じることができる。ラベンダー畑が芝生よりも優位だったのは香りがあるから。植木鉢でハーブを育てて食べれば、視覚・嗅覚・触覚・味覚で効果を感じられる」(岩崎氏)

ベジトラグは高さがあって作業がしやすいと人気(画像提供:タカショー)
ベジトラグは高さがあって作業がしやすいと人気(画像提供:タカショー)
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 ガーデニングは前かがみの姿勢が続くため、腰に負担がかかるのがつらいところ。そうした不安を抱える人たちから注目されているのが家庭菜園用プランター「ベジトラグ」だ。木製のプランターに足がついた構造で、大人でも立ったままで作業できる。植物にとっては底が床から離れるので水はけや風通しがよく、日当たりも良好。しかも、底部が三角形なので土の深い部分と浅い部分があり、根菜とハーブなど複数品種を同時に育てることができる。

 「家庭菜園で本当に楽しいのは食べるとき。育てる努力や大変さを乗り越えて実ったものを収穫し、いただくときに心から楽しいと思えるはず」(高岡氏)

 家庭菜園は気軽に始められるのが魅力だが、病院や公園、各種施設に植物を植えるとなれば、専門的な知識が必要だ。日当たりや土壌などの環境を考慮するのはもちろんのこと、せっかく植樹したのに害虫や落葉対策が行き届かず伐採するケースもあるため、長期的な視野で選定しなければならない。特に病院や福祉施設ではセラピー効果を期待する人が多いが、病院には病院にふさわしい緑化がある。「見た目に美しくても患者に適さない樹木もあるので、植物・緑と医療の双方の知識をもって緑化を推進するべき」だと岩崎氏は指摘する。

 日本ガーデンセラピー協会ではガーデンセラピーの普及のために、ガーデニングや庭の知識・ノウハウと医学的な知識を有する人を認定する資格制度を設けている。累計受講者数は650人超で、問い合わせは増えているという。何かとストレスの多い現代社会、ほっと心を癒す緑や植物が身近に増えることを願っている。

(タイトル部のImage:patpitchaya -stock.adobe.com)