SCD・MCIなら十分間に合う

 早期発見の次にくるのが「予防」と「早期治療」だ。これがなければいくら早期に見つけても、新井氏の言う「早期絶望」に陥ってしまう。「実際私も、かつては早期絶望を生み出している側の人間でした」と新井氏は言う。

 「目の前の患者さんがあきらかにアルツハイマーによるMCIだったとしても、認知症のリスク要因を避けてくださいと言葉で指導するくらいしかできていなかった」(新井氏)

多くは認知症の軽度から中度に至るあたりで「認知症」の診断がくだされる。「しかしこれでは遅い」と新井氏はいう(図・新井氏提供)
多くは認知症の軽度から中度に至るあたりで「認知症」の診断がくだされる。「しかしこれでは遅い」と新井氏はいう(図・新井氏提供)
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・適切な血圧の維持
・難聴の治療・補助具の使用
・禁煙
・アルコール量の調整
・肥満や糖尿病のリスクをへらす

 これまでの研究で認知症のリスクを低減させる方法がわかってきている。ただこれらを提案するだけでは実際の予防・治療にはならない。なぜなら実施するかどうかは患者自身に任されてしまうからだ。

 SCDやMCIの状態では社会生活にさほどの支障は出ていない。そのような状態を病気だと自覚し治療に専念する人は実際には少ないのだ。やがて症状は進行し、早期発見が早期絶望へとつながってしまう。

 「そこで今年4月にスタートさせたのが『健脳カフェ』です。月曜日から金曜日まで、アルツクリニックPETラボ内(新宿区)にて実施しています」(新井氏)

 特別なマシンを使わずに筋力アップを促すことで高齢者や低体力者の心身状態の向上を図る「ラクティブ」や、常駐する認知症専門医の相談・指導、認知症家族の会との交流など、約2時間半のコースを1回1500円で体験できる。