早期絶望を根絶したい

 健脳カフェが目指すのは、認知症の予防だ。その意義を新井氏はこう語る。

 「加齢とともに徐々に物忘れなどの症状が出始め、やがて重度の認知症になってくる。アミロイドβがたまり始めるところからカウントすると、おそらく40年くらかけてアルツハイマー病は進行すると思われます。

 ただ保険診療の守備範囲となるのは認知症の診断が下ってからです。SCDやMCIの状態では医療保険は使えません。しかし予防のことを考えるとその時期こそが大切です。逆に言うと、SCDやMCIの時期であれば十分間に合うのです。だからこそ、医療保険が使えない初期に健脳カフェを広く使っていただきたい。そのために少しでも参加のハードルを下げようと、ギリギリの価格設定にしているのです」(新井氏)

 脳動脈瘤や正常圧水頭症など、脳外科的な処置を施すことで劇的に症状が改善する認知症もあるが、アルツハイマー病やレビー小体型認知症は一度罹患すると完治することはいまのところない。早期発見、早期治療が重要なのは当然だが、これからは「変だな」と自分自身が感じた時点から予防に乗り出すことがスタンダードとなっていきそうだ。

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(タイトル部のImage:末並 俊司)