エネルギー源は着用者の体温と太陽光

 MOTHER Braceletの主な特徴は2つある。(1)充電不要であること、(2)SDK(ソフトウエア開発キット)を開放することだ。

 (1)の充電不要の代わりにエネルギー源とするのは、着用者の体温と太陽光である。製品の本体には熱電変換素子と太陽光パネルを搭載する。充電のために外す必要がなく、5気圧防水で入浴時なども着用できるとしており、歩数、睡眠、体表温、心拍数、消費カロリーといったバイタルデータ(生体情報)を常に計測し続けることが可能とする。

時計のフェイスのように見える部分は太陽光パネル。データの表示機能があるとスマホアプリと連携する機会が減ることもあり、表示機能は省いたという(写真の製品および箱はプロトタイプのため、最終製品とな異なる可能性がある)
時計のフェイスのように見える部分は太陽光パネル。データの表示機能があるとスマホアプリと連携する機会が減ることもあり、表示機能は省いたという(写真の製品および箱はプロトタイプのため、最終製品とな異なる可能性がある)
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 体温による発電技術には、米MATRIX Industries社の「温度差発電」技術を採用する。熱エネルギーを電力として出力する、いわゆる「熱電変換」技術だが、同社が提供するモジュールは0.5℃といった小さな温度差で起動できる点を特徴とする。ただし、夏場は体温と外気温との温度差が小さくなり、十分な発電量を確保するのが難しい。そこで夏場の強い日差しを活用できる太陽光発電を組み合わせるというわけだ。冬場は逆に太陽光発電量は減る可能性が高いが、体温と外気温との温度差を確保しやすくなる。

 MATRIX Industries社自身、充電不要のスマートウォッチとして熱電変換を使った「PowerWatch」を2018年に、熱電変換と太陽光発電を組み合わせた「Power Watch Series2」を2019年に実用化している。

 メディロムのMOTHER Braceletでは、トラッカー機能に特化することでPower Watch Series2との差異化を図っている。例えば、MOTHER Braceletで時計のフェイス(文字盤)のように見える部分は、ディスプレーではなく太陽光パネルである。本体の状態表示などに使うのはLEDによる光のみで、時計やデータの表示機能や通知機能は省いた。「通知や表示のために光ったり振動したりすると、睡眠を妨げることにもなる。常に着用するトラッカーとして、こうした機能は削ぎ落した」(メディロム 代表取締役 CEOの江口康二氏)。

メディロム 代表取締役 CEOの江口氏
メディロム 代表取締役 CEOの江口氏
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 消費電力量を抑えることで、Power Watch Series2と比べて大幅な小型化を実現した。外形寸法は40mm×12.5mm×23mmで、プロトタイプの重さは18g(本体のみ、付属バンドを装着した状態では30g)とする。MATRIX Industries社のモジュール「Matrix Prometheus module」として第3弾となる最小の熱電変換モジュールを世界で初めて採用した。

 メディロムでは日本・アジア地域におけるトラッカーに向けた温度差発電技術の独占利用権を取得しているという。こうした関係は、同社がMATRIX Industries社の株を取得することで実現しているという。