常時着用可だから医療介護分野にも向く

 (2)の特徴がSDKを開放する点だ。現在の多くのスマートトラッカーは、API(Application Programing Interface)で他社のアプリと連携する形を採用する。そのため、トラッカーからのデータを他社のアプリで利用する場合、一旦スマホのトラッカー専用アプリを開いてトラッカーのデータをスマホアプリを介してクラウド上に上げ、そのクラウド上のデータを他社のアプリで読み込む、といった複雑な作業が必要になる。ユーザーが他社アプリを使いたい場合も、データの吸い出しのためにはトラッカー専用アプリを都度開いてトラッカーと連携させる必要が生じる。

 トラッカーはあくまで計測機器であり、そのデータはユーザーに合わせた多様な用途に向けて活用することができる。しかし、トラッカーのメーカーが多様な用途に向けたアプリを複数用意するのは難しい。とはいえ、API連携では前述のようなアプリの二重利用が必要になるため、現状ではトラッカーに関する他社製アプリの利用はそれほど活発化していない。

 そこでメディロムは、SDKを開放することで様々な企業が特定用途に特化したアプリを開発できるようにした。直接他社アプリでデータを吸い出すことが可能となり、ユーザーにアプリの2重利用を強いる必要がなくなり、他社でのアプリ開発を促進できると見込む。

 特に重視するのが、複数台のトラッカーの集中管理を必要とする業務用用途だ。充電管理が不要であり、常時着用が可能で着け忘れや着け間違いを防げる点が大きな利点になると見込む。

 同社によれば、医療・介護分野からの関心が高いという。例えば高齢者介護施設では、施設側が利用者の容態の急変に気付けずに対応に遅れが生じて亡くなってしまうケースなどが問題となるものの、特に夜間の検温や見守りは人材不足もあって対応が難しいという大きな課題がある。MOTHER Braceletを利用すれば、タイマー設定で決まった時間に体温や心拍などのデータを読み出し、早期に異常を検知することができる。スタッフが異常を把握し家族に連絡する場合、MOTHER Braceletによる異常検知で直接家族に連絡するシステムを構築すれば、スタッフの負荷は抑えつつ、家族とも連携することが可能となる。

MOTHER Braceletの本体裏面。筐体に窓が開いている部分は心拍センサー。左上の2つの円形の金属部分は充電用端子。体温や太陽光により発電できない“万が一”の場合に備えて充電端子も用意しているという
MOTHER Braceletの本体裏面。筐体に窓が開いている部分は心拍センサー。左上の2つの円形の金属部分は充電用端子。体温や太陽光により発電できない“万が一”の場合に備えて充電端子も用意しているという
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 同様に、長距離ドライバーやタクシードライバーなど、従業員の体調管理といった用途も24時間常時着用可能の利点は大きいとする。ドライバーで大きな課題となっている体調不良や飲酒に対しても、体温や心拍といったバイタルデータで傾向を把握し、電話等で確認するなどほかの手段を組み合わせることで、危険回避に活用できると見込む。「BtoCの安価で精度の良いトラッカーは中国メーカー品などが多数出回っている。我々が取り組むべきは、BtoBのトラッカー。医療介護分野や運輸分野など、人のバイタルデータの管理に関する社会課題の解決に貢献できると考えている」(江口氏)。

 BtoB向けの集中管理システムについては、パートナー企業との協力で2022年以降に実用化する予定だ。さらに他社から用途特化型のアプリが登場することを期待しているという。

(タイトル部のImage:加藤 康)