端末の操作は誰がする?

 様々な工夫を積み重ねて研究を進めるなかで「端末を操作するのは必ずしも高齢者ではない」ことに気づく。高齢者が端末を使いこなせなくても、話しかける家族や介護者が操作できればよい場合も多い。そこで、ポケトークとほぼ同じサイズの「ポケトークmimi」を開発。タブレットmimiよりも先の2020年9月に発売された。

 「ポケトークminiとタブレットとの違いはボタンを押しながら話すこと(※)です。小型で持ち歩きやすいので、介護施設の職員やヘルパーの方の利用も多いです。また、聴覚に障害のある方が自ら買い物などに持って行くこともあります。ポケトークmimiを使ってみせると、初めて見た店員でもその意味に気づき、円滑なコミュニケーションにつながっているようです」(杉浦氏)

※ 2021年6月末配信の無料アップデートにより「ポケトークmimi」にもハンズフリー機能が追加

 ポケトークminiを病院に持って行くユーザーもいる。医療従事者の中には、コミュニケーションに配慮し、筆談を交えて意思の疎通を図ってくれる人もいるが、話し言葉と書き言葉では情報量が違う。医師の言葉をテキスト化して情報量の差に気づき、多くの情報を得られたことに満足したユーザーもいるという。

 最近は音声をテキスト化するアプリが多数出回り、スマホにインストールすれば、簡易の翻訳ツールとして使うことはできる。しかし、実際に筆者もいくつかのアプリを使ってみたが、精度や操作性に大きな違いがあった。

 「翻訳エンジンの差もありますが、それ以上に筐体(きょうたい)の違いが大きいです。専用機は筐体内の反響なども考慮して最適なマイクセッティングにしているので、言葉を素早く的確に拾うことができます。一方、スマホは機種ごとにマイクの位置や精度が異なるため、アプリは汎用的な設計にせざるを得ません。また、スマホは画面を見せながら話すことを想定していないので、筆談アプリと別のアプリを同時に表示することができません。例えば、地図を見ながら説明するといった使い方は難しいのです」(杉浦氏)

8インチのディスプレイを搭載する「タブレットmimi」(写真左)と、手の平にすっぽり収まるサイズの「ポケトークmimi」(画像提供:ソースネクスト)
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8インチのディスプレイを搭載する「タブレットmimi」(写真左)と、手の平にすっぽり収まるサイズの「ポケトークmimi」(画像提供:ソースネクスト)
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8インチのディスプレイを搭載する「タブレットmimi」(写真左)と、手の平にすっぽり収まるサイズの「ポケトークmimi」(画像提供:ソースネクスト)