コロナを受け国内生産に方向転換

 もう一つは、データ取得のためにユーザーがアプリを二重に利用しなければならない点だ。LavではAPI連携により、他社のトラッカーのデータをLavのアプリに自動で読み込む機能を搭載した。ただし、ユーザーはトラッカーのデータを読み出すために、スマホのトラッカー専用アプリを定期的に起動してトラッカーと接続する作業が必要となる。加えて、多様なユーザーに対してトラッカーのアプリとLavとの連携作業を遠隔地からのチャットなどで指示するのは難しく、ユーザーにもスタッフにも負担になりがちだったという。

 そこでメディロムは、「充電不要」と「SDK開放」の二つの条件を満たすトラッカーを自社で開発しようと検討を始めた(前編記事:ついに登場、これが「充電不要」で24時間装着できるウエアラブル)。まずは、熱電変換技術に強みを持ち、スマートウォッチなどの開発も手掛ける米MATRIX Industries社の協力を得ることとした。

 試作機を開発し、2020年1月に米国で開催された世界最大規模のエレクトロニクス展示会「CES 2020」で展示したところ、大いに注目を集めた。特に海外からの反響は予想以上に大きかったという。

 高い期待に応えようと製品の作り込みを検討する一方、同時期に生じた新型コロナ感染症拡大の影響を受けた。当初予定していた中国系企業の工場視察にも渡航できないなど、海外での生産が難しい状況になった。そこで生産委託先を国内に切り替え、日本製として信頼性を高める形へと方向転換を図ることにした。

 実際、MOTHER Braceletの生産は、電子部品の専門商社で製造受託などの支援サービス事業を展開する三栄電子を介して、電子・電気機械器具等の開発・生産・販売を行うキヤノン電子にアウトソーシングしている。そこで設計や製造プロセスの改善などが進められ、品質や信頼性の向上につながったと江口氏は言う。