「治療方針に偏りのない客観的なデータを集める」

 不妊治療の特徴として、「医療機関によって治療方針が異なる」(角田氏)ことが挙げられる。

 例えば、体外受精では、成熟した卵子を採卵するために卵巣を刺激して卵胞を育てる卵巣刺激を行うが、その方針や方法が医療機関によって異なるようだ。ホルモン剤を多く投与してたくさんの卵胞を育てる方針の医療機関もあれば、ホルモン剤はあまり使わずに自然周期に近づけながら卵胞を育てる方針の医療機関もあり、医療機関によって投与するホルモン剤の量などに大きな差が生じているという。

 受けられる検査も医療機関によって異なる。米国では体外受精をする際には、受精卵の染色体や遺伝子に異常がないかを検査するために着床前診断を行うのが一般的だが、国内では着床前診断を扱っていない医療機関も少なくない。特に地方では住んでいる地域に着床前診断を行える施設がないため、新幹線に乗って都市部の医療機関に通う人もいるほどだという。

 そのため、自分の通っている医療機関以外の情報も踏まえて、治療法を検討したいと考える人は多い。cocoromiを使って、客観的な統計データや自分と同質性のデータを閲覧できれば、治療法選択や医療機関選びに役立てることができるというわけだ。同質性のデータで、今行っている治療とは別の治療で妊娠できた人の割合が高ければ、「早いタイミングで治療を変えたり転院を考えたりといった行動に移すことができる」と角田氏は説明する。

vivola 代表取締役CEOの角田夕香里氏(写真:オンライン取材画面のキャプチャー)

 妊娠に至ったデータとしてcocoromiに登録されているのは、同氏がSNS上で運営するコミュニティーに登録している体外受精を経験した女性のデータを中心としており、特定の医療機関から収集したわけではない。「治療方針に偏りのない客観的なデータを集めることを重視した」と同氏は話す。