eスポーツ効果の研究

 秋田県のネガティブなイメージを逆手にとって結成されたマタギスナイパーズ。地域にeスポーツの裾野を広げていこうとの試みだが、「将来的にはeスポーツが心身に与える影響などについての研究にも役立てたい」と緒方氏は語る。

 「今の65歳は『老人』というイメージはありません。まだまだ現役という印象です。ただ、心身の衰えが目立ち始める年齢でもあります。参加してくれている方々の合意を得た上で、定期的に心身の健康診断などを行いたいと考えています。こうしたログを蓄積しておけば、eスポーツを続けることが高齢者に対してどのような影響を与えるのか、といった研究につなげられるかもしれません」(緒方氏)

 とはいえ、目指すは健康増進ではなく、あくまでもプロゲーマーだ。

 「マタギスナイパーズ以外も、世界にはいくつか高齢者だけのeスポーツチームがあります。スウェーデンの『シルバースナイパーズ』などが有名です。実力をつけて、彼らとの交流戦などを行うことができるところまで上達できれば素晴らしいですね」(緒方氏)

 前出のEBAちゃんは次のように語る。

 「募集の理由が『認知症防止』だったら参加していなかったかもしれません。地域の発展とプロ化集団の養成だったからこそ参加したんです」

 すべてのスポーツに言えることだが、ある程度本気にならなければ本当の楽しさを味わうことはできない。学生時代、部活動で苦しい練習を続けられたのは「勝ちたいから」だった。だからこそ楽しかった。あれが「健康のため」だったら3日と持たなかったはずだ。

 「我々はあくまでもプロを目指します」

 そう宣言するマタギスナイパーズからは、あのころにかいた汗の匂いがする。

 「本気で取り組むと、ボケてる暇がない」

 参加者の皆さんはこう口を揃える。鍛錬し、強くなってプロとして活躍する。健康、認知症予防効果なんかは副産物。趣味や仕事が多様化する時代だからこそ、このような視点が今後の高齢者問題を解くキーワードとなるだろう。

(タイトル部のImage:出所はエスツー)