2017年から国土交通省が実施している「サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)採択プロジェクト」。これは、住宅や住生活の質の向上や、新たなビジネス市場の創出・拡大を、IoT技術を活用して実現しようとする試みだ。これまでに6回の募集が行われ、計11プロジェクトが採択された。ここでは、採択事例のうち、「高齢者・障がい者等の自立支援」や「健康管理の支援」などヘルスケア分野をテーマにしたプロジェクトを紹介する。最初に紹介するのは、18年度の第2回公募で採択された、凸版印刷の「居住者見守り訪問介護サービス」だ。

 凸版印刷が現在進めている先導事業プロジェクト「居住者見守り訪問介護サービス」は、センサーによって居住者を見守り、訪問介護事業者のサービス向上や効率化に役立てようとするものだ。

 サービスに用いるセンサーは、睡眠の質を測定する「Sensing Wave」(センシングウェーブ)、踏むと位置が分かる「ロケーションフロア」、室内の人の動きを検知する「人感センサー」の3種類。ベッドにはSensing Wave、各居室やトイレに人感センサー、廊下などにロケーションフロアを設置する。

 3つのセンサーは、いずれもその存在を居住者に感じさせず、ストレスなく目的のデータを取得できるよう配慮している。データは、無線通信によるゲートウェイ機器を介してサーバーへ送られ、収集・分析する。

居住者見守り訪問介護サービスプロジェクトの概要(出所:凸版印刷)

 採用センサーのうちSensing Waveとロケーションフロアは、凸版印刷が独自に開発した。

 Sensing Waveは、ベッドマットレスの下に入れるだけで睡眠の質を計測できるセンサーだ。横になっている利用者の心拍数や呼吸数などの生体データを非接触で取得する。居住者がベッドに入っているか、睡眠中であるか、眠りが深いか浅いか――などをリアルタイムで把握できる。

 ロケーションフロアは床材と一体となった圧力センサーで、居住者が踏むことで、「どの方向に、どれくらいのスピードで移動したのか」ということを計測する。日常生活の中、床を歩くだけで、その位置情報を発信できる仕組みだ。廊下に設置することで、浴室やトイレなどへの移動、外出の有無などが確認できる。

 電池や外部電源などが不要な点も、ロケーションフロアの特長だ。ロケーションフロアの内部には発電素子が入っており、これに圧力が加わることで自ら発電する。こうして得た電力を使ってデータ通信を行うため、配線工事が不要な上、電源がなくとも半永久的に使用することが可能だ。

 床材と一体型のロケーションフロアは、大がかりな設置工事が必要となるため、既存住宅での使用には向かない。既存住宅で行われる事例では、同様の技術を用いた「マットセンサー」を採用する。これはバスマットのような形状をした圧力センサーで、発電機能も含め、ロケーションフロアと同等の機能を備えている。

 これら独自のセンサーに加え、壁付けの人感センサーを住宅各所に設置する。人感センサーに内蔵する小型電池は約10年間交換が不要で、自己発電式のロケーションフロアと同様、メンテナンスフリーで行動記録が取得可能だ。