過去に開発中止となったシーズの復活も

 オンリーワンの技術を核にしてブレイゾン社が取り組むのは、3つの事業展開だ。

 まず、製薬会社との共同開発。これには、製薬会社が持つ脳神経疾患の治療薬が全て視野に入る。従来、薬効が認められながら、治験の後半で脱落した薬は数多くあり、それらを再度浮上させられる可能性もある。また、向精神薬などは、送達率の低さから十分量を到達させるために用量が多くなって全身性の副作用につながる場合があるが、これを大幅に軽減させることもできるだろう。さらに、低分子医薬だけでなく、今後続々開発される抗体医薬や核酸医薬の高分子医薬の脳へのデリバリーが可能になれば、これまで確たる治療法がなかった脳神経疾患の患者にとって大きな光明となる。いずれも、医療経済の面でも高い効果が期待できる。

 もう一つが、アライアンス型創薬パイプラインの創出で、ブレイゾン社が、治験の第1相、2相までを手掛け、それを製薬会社に導出するというパターンだ。3つ目が自社開発で、大手製薬会社が手を出しにくい、小児脳腫瘍などの希少疾患や熱帯難病の治療薬などを手掛けたい意向だ。アカデミアにおけるシーズを探索している。

ブレイゾン・セラピューティクス社長の戸須氏(写真:寺田拓真)
ブレイゾン・セラピューティクス社長の戸須氏(写真:寺田拓真)
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 「我々が目指すのは、製薬会社ではない。脳疾患領域の治療薬におけるインテルになりたい。それが社会課題の解決にもつながると信じている」と戸須氏は語る。

 世界最大の半導体メーカー、インテルのCPUを使っているノートパソコンのキーボード下には、目立つ青色の「Intel Inside」のシールが貼られている。それと同じように、全ての脳疾患治療薬のパッケージに、「Braizon Inside」のシールが貼られている日を目指している。そこには、社名(Brain+Horizon)ともなった、脳疾患治療の新たな地平(Horizon)が開けていくはずだ。

(タイトル部のImage:寺田拓真が撮影)