【テクノロジー&イノベーション部門】アプリで介護者/被介護者の利便性を向上

 テクノロジー&イノベーション部門大賞のタイのFOPDEVは、アプリを活用して地域ボランティアと介護者が知識と技能を共有しながら介護サービを提供するプラットフォーム「バディ・ホームケア」を構築し、運用している。介護者や医療ボランティアスタッフが高齢者(被介護者)を訪問し、アプリを活用して健康状態などの情報を収集することで、被介護者のニーズを把握。医療・介護の専門家は、それに合わせてケアプランを作成・更新する。同時に介護者には、専門家グループからアドバイスを送る。このように、有用な情報を被介護者と介護者の双方に提供することで、質の高い在宅ケアを目指す。

高齢者発展財団の活動
アプリを活用して在宅介護サービスの品質向上を図る他、若年層の職業訓練や就業も支援する(出所:FOPDEV)

 この仕組みの利点の1つは、介護に携わる多くの人が地元の出身者であることだ。というのも、山岳地方には独自の方言があり、行政の担当者には理解できないケースもあるのだ。地元出身者の介護者がアプリを活用すれば、行政の方針を被介護者にスムーズに伝えられる。FOPDEVは、山岳民族の若者に介護の職業訓練と就業の機会を提供することで、若者の経済的自立と介護者の確保を図っている。チェンマイ大学の看護学部がプログラムを設計し、これまでに35人の若者が受講。15人が介護者としてバディ・ホームケアで働き、他の20人もヘルスケア分野で活動しているという。

 バディ・ホームケアについて、ERIA事務総長で選考委員も務めた西村英俊氏は「アプリを活用して地域医療のモニタリングシステムを作り、複数の課題を解決した点で、ユニークなアプローチ」と位置づける。具体的には、被介護者とその家族、介護者の間で健康情報を共有する手段を提供しながら、介護者不足、若年層の雇用機会の不足という2つの問題にも対応したことを評価した。「技術としては最も進んだものではないが、シンプルな技術をイノベーションに富んた形で応用した」ことが大賞受賞の決め手になったとしている。