【自立支援部門】セルフマネジメントで脳卒中の1年以内再発率を低減

 自立支援部門大賞の駒ヶ根市は、周囲4市町村によって運営されている昭和以南総合病院と連携し、脳卒中患者自身が再発予防に取り組む“セルフマネジメント”を支援。地域の課題である脳卒中の再発・重症化予防に取り組んでいる。地域全体で住民の健康意識を高め、セルフマネジメント支援を通じて専門家が効果的にかかわることを目指す。

 駒ヶ根市は従来、他県や長野県の他の地域に比べて脳卒中による標準化死亡比が高いという課題を抱えていた。昭和以南総合の入院患者データを調査したところ、脳卒中の再発率(2014年10月~2015年9月)は20.5%。その30.4%が最初の1年以内に再発していたことが分かった。つまり「最初の1年間をうまく乗り越えられれば再発率は低くなる」(院長の村岡紳介氏)。この知見を元に、駒ヶ根市と昭和以南総合病院は、セルフマネジメントの仕組みを作った。血圧管理や医薬管理、食事・運動といった生活管理を患者任せにすれば、継続されにくい。そこで入院中から、患者教育用の「脳卒中予防ノート」と活動量計を使ってセルフケアプランの作成を支援。退院後1年間は、患者が専用アプリを活用して健康状態を記録したり、看護師や管理栄養士と年4回の頻度で面会したりして、セルフマネジメント力を高める。

* 標準化死亡比(standardized mortality ratio:SMR) 厚生労働省の統計では「基準死亡率(人口10万対の死亡数)を対象地域に当てはめた場合に、 計算により求められる期待される死亡数と実際に観察された死亡数とを比較するもの」と定義する。

脳卒中による死亡比の比較
2008〜2012年の主要死因別標準化死亡比で、女性の場合(出所:駒ヶ根市・昭和以南総合病院)
昭和以南総合病院における脳卒中の再発例数
2014年10月〜2015年9月のデータ(出所:駒ヶ根市・昭和以南総合病院)
「脳卒中予防ノート」と活動量計(出所:駒ヶ根市・昭和以南総合病院)
退院後に年4回実施する面会(出所:駒ヶ根市・昭和以南総合病院)

 プロジェクトを実行した結果、1年以内再発率が低下し、2019年には5.6%に改善した。脳卒中は生命にかかわる疾患であると同時に「後遺症を残しながら地域に戻って生活を再開する疾患に変わってきている」(同氏)。その点で「地域包括ケアシステムの構築にとっても重要な疾患」(同氏)。同プロジェクトによって再発率を下げることが、大きな役割を果たすとみている。

駒ヶ根市における脳卒中患者の1年以内再発率
2017年に10%だった1年以内再発率は、2019年には5.6%に低下した(出所:駒ヶ根市・昭和以南総合病院)

 西村氏は、このプロジェクトを成功に導いた「自治体と病院、患者、家族の緊密な協力は、現在のコロナ禍においても重要性を持つ」と指摘。大賞選出に当たっては、高齢者が自らの健康状態を理解して目標を設定し、健康を積極的に管理していくプログラムが持つ「潜在的可能性」も評価したという。

(タイトル部のImage:出所はJCIE・ERIA)