居住空間と健康寿命の因果関係を探る

 健康寿命延伸住宅は、住宅の基本性能として高断熱・高気密仕様となっている。これは、空調の自動コントロールによって温熱環境の維持管理を容易にすると同時に、温熱環境と健康状態の因果関係を検証しようとするためだ。

 芙蓉ディベロップメントは、高い断熱・気密性能を持つ健康寿命延伸住宅と、一般的な既築住宅を比較して、温熱環境が健康状態に与える影響についても調査分析している。

 60代の男女2人を比較したケースレポートでは、健康寿命延伸住宅の住まい手は既築住宅の住まい手に比べ、血圧が抑制傾向にあり、体温もやや高い状態に維持できる結果が現れたと報告されている。

 居住空間と健康状態の関係性については、19年度の採択の際に、さらに踏み込んだ検証を追加した。照明と睡眠の質に関する検証だ。これは、夜間における照明の色温度が心拍変動や睡眠の質に影響するという、医療研究機関の研究成果に基づき、自動照明調光機能によって睡眠の質の向上を試みようとするものだ。

2019年度の採択事業の全体像。バイタルデータのスコアリング方法のブラッシュアップに加え、新たに照明のコントロールが加わった(出所:芙蓉ディベロップメント)

 就寝時間が近づくと自動的に居室の照明を調光し、睡眠の導入に適した状態に変化。居住者にはウェアラブル端末を身に付けておいてもらい、心拍や睡眠効率を測定。照明と睡眠の因果関係を検証する。

 加齢やストレスなどによって生じやすくなるといわれる、入眠障害や中途覚醒などを抑制する効果を期待して、2回目の採択の際に事業に取り入れた。

 健康寿命延伸住宅は、17年度の第1回の採択後、18年度末までに39棟を建築して実施、検証した。19年度に2度目の採択を受けた現在、さらに40棟を目標に実証する予定だ。

(タイトル部のImage:patpitchaya -stock.adobe.com)