東海地区では名古屋に次ぐ第2の都市であり市域面積は全国2位の静岡県浜松市。昨年10月に「デジタルファースト宣言」を掲げ、「浜松市デジタル・スマートシティ官民連携プラットフォーム」の設立や、ベンチャー支援などの施策を次々と打つ鈴木康友市長に、デジタル化と地域活性化について聞いた。


浜松市の鈴木康友市長(写真:廣瀬 貴礼)

2019年10月に「デジタルファースト宣言」をしました。

 人口減少、少子高齢化が進み、これまでとは社会の枠組みがそのものが違う時代を生きていくことになります。さまざまな課題解決の決め手になるのがデジタル技術です。先端技術やデータ活用などを最大限に活かし、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活かして社会に変化を起こす。これは企業だけではなく、自治体にとっても重要です。

 そこで、いち早くデジタルを最大限活用したまちづくりを行い、自治体経営そのものを変えていこうという決意をもって宣言しました。都市の最適化と市民のQOL向上が目的です。

官民連携プラットフォームを4月に設立

具体的にはどのような動きがあるのですか?

 戦略は3つです。まず1つめは「都市づくり」のデジタルファースト。データや先端技術を最大限に活かし、産業活性化や都市機能の高度化を目指し官民の分野横断的なデータ連携を進め「都市の最適化」を図ります。これを推進する政策として、デジタル・スマートシティ政策に取り組んでいます。

 次に「市民サービス」のデジタルファースト。行政手続きのオンライン化をさらに進め、デジタル技術を活用した問い合わせ対応や教育分野でのデジタル技術の活用を推進します。3つめが「自治体運営」のデジタルファースト。AIやICTを活用して業務の効率化、高度化を図るとともにデータの活用を進め、生産性を向上します。

デジタル・スマートシティについてはプラットフォームを立ち上げました。

 4月に市の組織としてデジタル・スマートシティ推進事業本部を設置し、「浜松市デジタル・スマートシティ官民連携プラットフォーム」を設立しました。パートナー会員としてソフトバンク、NTTドコモ、NECなど10社。一般会員としてデジタル・スマートシティ(*)実現に意欲のある企業、研究機関、金融機関、行政機関など合わせて約72の企業・団体と共に動き始めたところです(2020年7月9日時点)。

*1 「AI・ICT等先端技術と都市の有するさまざまなデータを活用することで、地域課題の解決と新たな産業の継続的な創出を図りつつ、都市の分野横断的なマネジメントによる全体最適化と市民生活の質の向上を目指す持続可能な都市」(浜松市デジタル・スマートシティ官民連携プラットフォーム要綱より)

 大きなプラットフォームの中に分野ごとのグループがあり、既に以前から動いているプロジェクトも一緒にやっていくことになります。例えばエネルギー分野では2013年に浜松市エネルギービジョンを策定、「エネルギー・スマートシティ」構築に向け、市内外の民間企業に参加してもらい市域内で特性を持ったプロジェクトつくりを進めておりました。こうしたものをまとめて大きな枠組みを作り、みんなで進めていこうというものです。

デジタル・スマートシティ浜松を実現、地域課題を解決、新たなビジネス創出を目指す(出所:浜松市)
浜松市デジタル・スマートシティ官民連携プラットフォームの推進体制(出所:浜松市)

 今は枠組みを作った段階で、事務局を中心に専門家にもアドバイスをいただきながら、分野を超えた取り組み、動きをどんどん掘り起こしていきたいと思っています。我々は「官」ですから自ら事業をやるというのではなく、環境を作っていくのが仕事。プラットフォームの中でできるだけ民間の知恵、活力を生かしていくのが重要だと考えています。

 その中で新たな連携も生まれてきています。文科省が進めているGIGAスクール構想に基づき、浜松でも児童生徒1人に1台のタブレットの支給を進めていますが、これを学習だけではなく子どもたちの健康管理にも活用しようという、分野を超えた提案がプラットフォームの活動を通じて出てきています。いつ予防接種を受け、病期になったときにとのような治療を受けたのかといったデータを管理することで、後に疾病が生じたときに参考にしようというものです。