米国で広がるオーガニック食品

 私が提案する食事は、野菜中心で、肉は最低限に減らします。また、全粒粉、ソイミートなどの肉の代替品、そして白砂糖以外の甘味類などを使います。高血圧症とか糖尿病とか、それぞれの疾患に応じて最適なレシピをデザインしました。米国ではそれに基づいたミールキットも販売しています。

 私がレシピを考案するうえで大切にしているのは「CAT」という考え方です。CATはコスト(Cost)、アクセシビリティ(Accessibility)、テイスト(Taste:味)の略です。食材は高い品質であることが大前提ですが、それでもある程度安くなくては続けられません。

 また、日常で手に入れやすいものでないといけない。そしてもちろん味も大事です。美味しくなくては続けられませんから。私が考案したレシピには50%が肉で50%がマッシュルームのハンバーグがあるのですが、私が作ったハンバーグを食べた人は、誰も半分がマッシュルームだなんて気付きませんでしたよ(笑)。

食材の品質が大事で、しかも手に入れやすいものであるべきというお話ですが、オーガニック食品は一般的に高価です。例えば日本では現状、無農薬あるいは有機栽培の野菜は、慣行農法により作られた野菜の2倍程度高い値段がつけられています。また、手に入れられる小売店も限られています。

グラハム 実は米国でもこの5年から7年でずいぶん変わってきたのです。オーガニックの食材は、以前はとても高かった。けれども多くの人がオーガニックを求めるようになって、変わりました。

 例えば米国で有名なスーパーマーケットであるウォルマートはどちらかと言えば庶民向けですが、ここが今かなりの量のオーガニック食品を売っています。値段もリーズナブルなレベルにまで下がってきました。

 つまり、米国ではオーガニックが一般消費者でも手が出せる値段になってきたということです。オーガニックを求める消費者が増えれば生産者もたくさん作るようになり、値段も下がっていきます。それは日本も同じではないでしょうか。

屋上の野菜畑で新鮮な食を病院に

病院の屋上を野菜畑にする活動をしてきたそうですね。

グラハム 「食事を改善すれば、それ自体が良い薬になる」というのが私の考え方です。病院の屋上を野菜畑にしたのは、私がかつて勤めていたニューヨークのレノックスヒル病院が最初でした。この病院の屋上に野菜畑を設けて、そこで取れた新鮮な野菜を、病院の食堂で提供できるようにしました。

病院の屋上に開いた菜園(画像提供:ロバート・グラハム氏)

 ほら、あそこに屋上庭園があるじゃないですか(と筆者の後ろ、ビルの窓の外に見える屋上庭園を指差す)。私はこういう美しい屋上庭園を見ると、なんで野菜を作らないんだろう?と思ってしまうんです。

日本のビジネスパーソン、そして医療・健康分野に携わっている日本人にひとことお願いします。

グラハム 今までの話と重なりますが、日本人の皆さんには「Be Careful(気をつけて)」と言いたいです。元々日本にあった「医食同源」を大切にしてほしい。日本の食には叡智があります。そこに西洋的なサイエンスが重なり合うことで、もっと良いものになるでしょう。私はFRESH MEDICINEで、伝統とサイエンスという2つが重なり合った領域を追求し、広げていくことを目指しているんです。

(タイトル部のImage:ロバート・グラハム氏が提供)