それぞれの領域に具体的な研究内容を当てはめてみると…

 下の図はそれぞれの領域に当てはまる具体的な研究の内容が示されたものだ。

(図:東大 稲見・檜山研究室の説明を基に著者が作成)

 「こうした研究に10年以上取り組んできました。行動支援の部分だと、テレプレゼンスロボット。例えばタブレット端末の使い方等の講習会を遠隔地同士で行う場合、Skypeを使って、パソコンやタブレットを見ながら行ってきました。ただ、これにはやはり限界があります」(檜山氏)

 講師がカメラに向かってしゃべる。離れた場所にいる受講生が、画面に映る講師の言葉を聞く。遠隔講義といえばたぶん今でもこれがスタンダードな方法だろう。

 「ただ、これでは臨場感が伝わりにくく、講師との心理的な距離も遠い。ところがテレプレゼンスロボットを導入すると風景ががらりと変わります」(檜山氏)

 テレプレゼンスロボットとは、ごく簡単に説明すると、講師の顔を映し出す卓上型ディスプレイを講師の顔の動きに同期させて向きを変えるシステムだ。例えば仙台にいる講師が、右を向けば、西宮にあるテレプレゼンスロボットも右を向くし、左を向けば左を向く。講師がうなずけばディスプレイもうなずく。

 「おかげで講師と受講生の心理的な距離が縮まり、コミュニケーションの頻度が増えて講義終了後には講師の顔が映し出されたテレプレゼンスロボットとツーショットで記念撮影する受講生まで現れたほどでした」(檜山氏)

テレプレゼンスロボットと記念撮影する受講生(出所:東大 稲見・檜山研究室)

 つまり、受講生は目の前にあるテレプレゼンスロボットを単なるロボットではなく、そこにいるひとりの人間として意識するまでになったということだ。

 超高齢社会の問題のひとつとして、リハビリ指導員や理学療法士、作業療法士などの偏在が言われている。こうした人材も大都市には多く存在するのだが、地方で確保するのは難しい場合もある。テレプレゼンスロボットの技術があれば、人材の偏在問題を解決するための大きな布石になるだろう。