参加しやすさへの工夫

 「ただ、インターネット上に自分の情報を公開することに慣れていないシニアが多いのも事実です。インターネットで必要な情報にたどり着く、ということには慣れているのですが、SNSに自身のプロフィールなどの情報を公開するのには抵抗がある。そこで『Q&Aカード』という機能を盛り込み、『◯◯に興味があるか』などの質問にYES、NOで答えられるようにして、情報発信のハードルを下げる工夫もしています」(檜山氏)

 最初に導入したのは千葉県柏市にあるセカンドファクトリーという一般社団法人だった。

 「およそ100人ほどの団体です。参加している方々にGBERを使っていただいています。アクティブユーザはそのうちの30人強なのですが、2016年からの3年間で、延べ参加人数は2700人を超えています」(檜山氏)

 檜山氏は特に男性はこうしたテクノロジーを使ってほしいという。

 「東京のベッドタウンでもある柏市では、退職を控えた多くの男性は仕事をしている昼間は東京の職場にいて、自宅には戻ってくるのは夜になってしまう。土日も疲れをとるために休む必要があると、帰属する地域コミュニティを持たないまま過ごしてしまうことが多くなりがちです。反対に、大部分の時間を地域で過ごしてきた女性は、ママ友など地域にコミュニティを作るのが得意です。引退後のQOL(Quality of Life)にはこれが重要な意味を持ちます」(檜山氏)

 中高年の引きこもりが問題になっている。今年3月、内閣府は全国に61万人の中高年引きこもりがいると発表した。その4分の3が男性なのである。地元コミュニティとの距離がこの男女差に現れているのかもしれない。

 また災害などが起こった場合にもご近所コミュニティは大きな力を発揮する。

 6400人以上の死者・行方不明者を出した1995年の阪神・淡路大震災では、地震によって倒壊した建物から救出され生き延びることができた人の約8割が、家族や近所の住民等によって救出された。災害弱者となりやすい高齢者こそ、GBERのようなテクノロジーを使って地域との結びつきを強めておく必要があるのもしれない。

 後編では、VRを使った生きがい創出の現場をリポートする。

(タイトル部のImage:末並 俊司)