VR旅行の実際
7月某日。東京都千代田区の福祉センターで定期的に行われているVR旅行の現場にお邪魔した。
この日の参加は6人ほど。定刻の10時30分。ラジオ体操から始まり、その後は編み物やパソコン作業など、思い思いの活動をする。
その間、登嶋氏は部屋の隅でVR旅行の準備に大わらわだ。大きなスーツケースいっぱいに詰まったVRのゴーグルをテーブルに並べ、撮影してきた場所が分かるように、卓上のプロジェクターで画像をセットする。
この日VR旅行をするのは「ハワイのオワフ島」だ。どのゴーグルにどの映像が映し出されるのか、ナンバリングしたゴーグルを、映し出される場所がわかるようにテーブルの上に並べて準備完了。
「それでは皆さん、本日もよろしくお願いいたします」と挨拶した後「今日は、ハワイのオワフ島にお招きいたします」。VR旅行のスタートだ。
千代田区福祉センターで行われるのはこれが初めてではない。参加してくれている方々も、慣れたもの、
「1のゴーグルではなにが見られるの」
「お、これはダイヤモンドヘッドだね。若い頃行ったよ」
など取り組みに対して積極的だ。
ただ、うまくいくときばかりではないと登嶋氏は言う。
「中にはこういう大げさなゴーグルを被ることを嫌う方もいらっしゃいます。そうした場合は、ダンボール製の組み立てタイプのゴーグルを使い、ご自分で組み立てるところから初めて、最終的にこれを目にあてて見ていただく、といった流れを作ったりもします」(登嶋氏)