睡眠の質や睡眠時無呼吸の有無をチェック

 眠っている間にもデータを取得し、睡眠に関する状態を把握できることもBITの大きな特徴だ。同システムでは3軸加速度計により体の姿勢が横になった時点や、エネルギー消費がほぼゼロになるなどの兆候から入眠時刻を正確に特定し、睡眠時間を的確に割り出す。その間の自律神経のバランスや呼吸回数をチェックする。

 交感神経と副交感神経は車に例えれば、アクセルとブレーキの役割を果たしている。正常な状態なら、眠っている間はブレーキをかけ体と心を休める。日中に蓄積したストレスも睡眠によって減少する。つまり、副交感神経の活動が高まり、交感神経の活動が弱まるのが「質の良い睡眠」だ。

 ところが、自律神経のバランスが崩れると、ブレーキとアクセルが同時に踏み込まれ、睡眠中にも交感神経の活動が残留してしまう。「マニュアル車なら、エンスト状態だ」と島田氏は指摘する。

睡眠解析の結果の例
左の「良い睡眠」グラフでは交感神経活動の指標が高いときは副交感神経活動の指標は低いものの、副交感神経活動の値が高くなる(右に寄る)につれて交感神経活動が低くなる。これに対し右の「悪い睡眠」グラフでは、交感神経活動が高いままで、副交感神経は低いままになっている(図:細谷クリニックの資料を基にBeyond Healthが作成)

 睡眠の質の良し悪しのほか、「睡眠時無呼吸」の有無も見える化できる。起きた姿勢で呼吸をすると横隔膜が下がるが、この動きは仰向けに寝た状態では前後の動きとしてBITに認識される。座標で表せばY軸方向の動きだ。つまり、Y軸の動きがゼロのときは呼吸をしていないことになる。

 また、睡眠中に無呼吸が生じると、血液中の酸素濃度が下がる。すると、「酸素が足りない」と脳へ指令が行き、交感神経が働いて横隔膜を動かし、呼吸を促す。同時に脈拍も上がる。したがって、Y軸の動きと交感神経の活動状況を見れば、無呼吸になっている瞬間が特定できる。

 島田氏は「これまで睡眠時無呼吸症候群の診断には、入院して睡眠中の呼吸の様子を医療従事者(検査技師等)が目視で確認するとともに専用のデバイスで記録し、脳波を測定して判断する必要があった。BITならば、自宅でいつもどおりに生活しながら、より正確な判定ができる」と説明する。