“未病”のうちに気づき、適切な介入をするためのツールに

 健康経営では、労働生産性に関わる損失として、たびたび病欠をするなどの「アブセンティーズム」や健康問題によって業務効率の下がった状態で勤務する「プレゼンティーズム」を重視する。特に最近では、後者のほうが前者よりも業績に影響を与える割合が大きいとの指摘もある。

 また、SDGs(持続可能な開発目標)では「すべての人に健康と福祉を」を目標の1つに掲げており、その取り組みの一環として社員の健康に配慮する企業も増えている。

 島田氏は「やりたくないと思いながらタスクをこなしていると、自律神経が弱り、ストレス度は上がる。BITで社員一人ひとりの状態をトレースしてみて、『休憩をするとストレス度が下がる』といった傾向を把握できれば、産業医が仕事中に適度な休憩を挟むようアドバイスすることもできる」と話す。

 一方、運輸や物流関係の企業にとっては、ドライバーの睡眠時無呼吸症候群をはじめとする健康チェックを怠ることは、事故に直結するリスクとして認識されつつある。アポロンでは、名古屋市の大手タクシー会社や外国航路貨物船会社、茨城県のバス会社などで内部健診テストを導入するなど、実績を増やしている。同社の牧田進社長によれば「5年間実施するとして、社員1人あたり月額1500円のコストで導入できる」という。

 記録したBITのバイタルデータを分析し、社員の“未病”状態を把握すれば、企業側の適切な介入が可能になる。健康経営のための具体策として有効なツールになりそうだ。

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